わかったぞ、皮膚がん抑制の仕組み
2014年12月15日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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脱リン酸化酵素のPP6が皮膚がんの抑制に
働いていることを、宮城県立がんセンター
研究所の島礼(しま ひろし)所長と
奈良女子大学研究院自然科学系の渡邊利雄
(わたなべ としお)教授らが初めて
突き止めた。
がんの新しい予防や治療につながる成果
として注目される。
東北大学、理化学研究所、九州大学、
埼玉県立がんセンターとの共同研究で、
12月8日付の米科学誌オンコジーンの
オンライン版に発表した。
がん細胞の暴走を促進する貝毒成分の
オカダ酸が、脱リン化酵素を阻害して細胞の
がん化を起こしていることは1989年に
国立がんセンター研究所(当時)の藤木博太
(ふじき ひろた)部長らが見つけた。
しかし、生体物質からリン酸を外す
脱リン酸化酵素は細胞内にいっぱいある。
オカダ酸がどの脱リン酸化酵素を阻害して
いるかは25年間謎だった。
最近の大規模な遺伝子解析で、
脱リン酸化酵素PP6の失活ががん細胞の
暴走促進因子の候補として浮かび上がって
いた。
研究グループは、遺伝子操作でPP6機能
喪失マウスを作製した。
PP6がなくなると、マウスの皮膚がん細胞
の暴走は早まった。
暴走を促進する薬剤なしでも、皮膚がん
が生じることを確かめた。
一連の実験から、脱リン酸化酵素のPP6
が、がん細胞の暴走を促進するオカダ酸の
標的酵素である可能性が強まった。
逆にいえば、PP6 は皮膚がんの暴走を
抑え込むブレーキ役のがん抑制遺伝子
であることが初めてわかった。
この発見で、脱リン酸化酵素PP6の
活性促進を指標として、新しいがん予防・
治療薬の開発が期待されるという。
研究グループの渡邊利雄教授は「大規模
遺伝子解析で黒色細胞腫(メラノーマ)や
ほかのがんにも、脱リン酸化酵素PP6の変異
が見つかっており、皮膚がん以外の多様な
発がんに関与している可能性もある。
PP6の発現促進は、がん抑制に効くので、
抗がん剤などの開発の新しいターゲットに
なるだろう。
オカダ酸などは日本人研究者の長年の
蓄積がある分野なので、研究をぜひ進めて、
がんの予防や治療に役立つようにしたい」
と話している。
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この研究も素晴らしい。
>オカダ酸がどの脱リン酸化酵素を阻害
>しているかは25年間謎だった
長い時間がかかりましたね。
>大規模遺伝子解析で黒色細胞腫
>(メラノーマ)やほかのがんにも、
>脱リン酸化酵素PP6の変異が見つかって
>おり、皮膚がん以外の多様な発がんに
>関与している可能性もある。
気になりますね。
これからは大規模遺伝子解析
欠かせないですね。
研究をぜひ進めて、がんの予防や治療に
役立つようにして貰いたい。
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