光合成タンパク質の正確な構造を解明
2014年12月1日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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光合成による水分解反応を触媒する
光化学系Ⅱ複合体の正確な構造を、
岡山大学大学院自然科学研究科の沈建仁
(しん けんじん)教授、菅倫寛
(すが みちひろ)助教、秋田総理
(あきた ふさみち)助教らが突き止めた。
X線自由電子レーザー施設SACLA(さくら、
兵庫県佐用町)で解析した成果で、
人工光合成開発の糸口になりそうだ。
理化学研究所放射光科学総合研究センター
の山本雅貴(やまもと まさき)部長、
吾郷日出夫(あごう ひでお)専任研究員ら
との共同研究で、11月27日付の英科学誌
ネイチャーのオンライン版に発表した。
植物の光合成は、太陽光を利用して、
生物が利用可能な化学エネルギーに変換
するとともに、水を分解して酸素を
作り出している。
この反応を担っているのは、藻類や植物
の葉の中の葉緑体にある複雑な膜分子の
光化学系Ⅱ複合体で、19個ものタンパク質
からなる。
沈教授らは2011年、日本の温泉由来の
ラン藻の一種から取り出した
光化学系Ⅱ複合体の世界最高品質の結晶を
作り、その構造を大型放射光施設の
SPring-8(佐用町)の放射光X線を用いて、
高い分解能で解析した。
この成果は、米科学誌サイエンスによって
2011年の科学上の10大発見に選ばれたほど
注目された。
しかし、X線結晶構造解析で使用する
X線回折写真の撮影に必要な1秒のX線照射
の間に、水分解反応の触媒中心の一部が
X線による放射線損傷を受けて、本来の構造
とわずかに異なっている可能性があり、
より正確な構造解析が求められていた。
研究グループは今回、同じ良質の
光化学系Ⅱの結晶を、12年から使えるように
なったSACLAに持ち込み、そのフェムト秒
X線結晶構造解析を試みた。
この自由電子レーザーは1パルスでX線回折
写真を撮影できるほど極めて明るい。
しかも、1パルスの継続時間が
100兆分の1秒(10フェムト秒)とごく短い
ため、X線による放射線損傷で分子の
構造変化が起こる前に、X線回折写真を
撮影でき、正確な構造がわかる利点がある。
この方法で、光合成の光化学系Ⅱ複合体
の本来の構造を1.95 オングストローム
(1オングストロームは1億分の1センチ)の
分解能で詳細に解析することに初めて成功
した。
今回明らかにしたタンパク質中の
マンガン原子と酸素原子の距離は、
SPring-8の放射光を用いて得られた構造
より0.1~0.3オングストローム程度短く
なり、水分解反応の鍵を握る触媒の
反応中心の部位をより正確に絞り込めた。
構造から、水分解の反応の仕組みも推定
した。
沈建仁教授は「放射光の撮影には1秒
かかっていたが、今回はその100兆倍も高速
の撮影をして、本来の構造を捉えることが
できた。
この解析で、効率的な光合成の水分解反応
の動的な仕組み解明に近づいた。
光化学系Ⅱの反応は『人類の夢』といえる
人工光合成の実現に重要なヒントを与える
ものになるだろう」と話している。
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>光化学系Ⅱの反応は『人類の夢』
>といえる人工光合成の実現に重要な
>ヒントを与えるものになるだろう
素晴らしい。
X線自由電子レーザー施設SACLA(さくら、
兵庫県佐用町)の威力は凄い。
関連投稿です。
2014年2月 3日
これからさらに有用な観察結果が発表
されことを期待したい。
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