共生者の「不在」がもたらす現代病 アレルギーと自己免疫疾患への新たなアプローチ 『寄生虫なき病』 - 東嶋和子
2014年12月01日 blogos
詳細は、リンクを参照して下さい。
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人類と「旧友」たちの真の姿
謎解きの過程はスリリング、かつ、
ジグソーパズルのピースを埋めるような
快感に満ちている。
著者はまず、長年の自己免疫疾患を治療
するためにメキシコへ向かう。
怪しげな寄生虫業者の手で、著者は
寄生虫と「一心同体」になる。
一方で、人類が「不潔なサル」だった
時代へとさかのぼり、寄生生物が我々の
「旧友」として免疫の進化の原動力と
なってきた歴史を突き止める。
自己免疫疾患の発症率が極めて高い
イタリアのサルデーニャ島では、それが
マラリア原虫の撲滅と同時期に始まった。
アフリカではこれまで存在しなかった
喘息が現れ始めた。
その理由は何か。
著者は世界各地を歩き、丹念に断片的
証拠を拾い集める。
8500本もの論文を渉猟し、学会では噂話
ひとつ聞き漏らさない。
すると、それまでばらばらに宙に浮き、
一見関係ないと思われていた情報が、
ヒトという生態系をかたちづくる
「超個体」という観点から新たに紡ぎ
出されていく。
ピースの隙間がひとつ、またひとつと
埋まり、それまで見えていなかった人類と
旧友たちの真の姿が浮かび上がってくる。
「敵」の根絶が「内なる生態系」の崩壊
を招いた
産業革命後のわずかな期間に、我々は
「敵」を見つけ出し、根絶することに集中
してきた。
それこそが医学の成果であり、人類の
勝利だった。
しかし実は、その行為こそが
「内なる生態系」の崩壊を招き、
新たな難病を生み出していたのである。
近年見つかった「悪玉」ピロリ菌ですら、
実は免疫細胞を制御して喘息やアレルギー
を予防している可能性があるという。
抗生物質で根こそぎにしてしまえ、
というのは短絡的だったと気づかされた。
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面白そうな本ですね。
>このように考えれば、アレルギー疾患
>とは、「本物の寄生虫や主要な微生物が
>いなくなってしまったために、寄生生物
>制御メカニズムが制御不能に陥った状態」
>と見なすことができる。
>自己免疫疾患は、「制御機能が弱い
>ために、組織防衛・組織保全プロセスが
>自己破壊に向かってしまった状態」と
>見なすことができる。
>こうした問題の解決法
>―免疫系の本来の働き方―
>を教えてくれるのが、かつて
>不倶戴天の敵と考えられていた細菌や
>寄生虫である。
最近こういう考え方が出てきましたね。
ニュースにも、
自己免疫疾患の治療の為に怪しげな
寄生虫業者の手で感染させるという。
科学的な検証がまだですので、
直ちにこの方法が正しいのかどうか
については時間がかかると思います。
ただ、「敵を全て抹殺してしまえば、
全て解決」とはならない、というのは
真実でしょう。
ずいぶん昔に投稿した
2007年4月30日
とも通じますね。
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