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2014年11月17日 (月)

多発性硬化症で神経が傷つけられる仕組みを解明

平成26年11月14日
科学技術振興機構(JST)
大阪大学
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
〇多発性硬化症の神経傷害機構は十分に
 解明されていなかった。
 
〇神経傷害に関わる主要な細胞と分子を
 特定し、そのメカニズムを突き止めた。
 
〇多発性硬化症の神経症状を改善する
 新規治療法開発につながることに期待。
 
 
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概要
 
 JST戦略的創造研究推進事業において、
大阪大学 大学院医学系研究科の山下 俊英
教授らは、多発性硬化症注1)で中枢神経
が傷つけられるメカニズムを発見しました。
 
 多発性硬化症は免疫系の異常によって
中枢神経に炎症が生じ、神経が傷つけられる
難病で、手足の麻痺や感覚異常、視覚障害
など重篤な症状が現れます。
 
 免疫系細胞が中枢神経に侵入して炎症を
起こすことが神経傷害の原因であることは
わかっていましたが、なぜ炎症によって
神経が傷つけられるのかという仕組みは
不明でした。
 
 本研究グループは、多発性硬化症に類似
する脳脊髄炎注2)を発症する
モデルマウスを用いて、炎症による
神経傷害には「RGMa注3)」と呼ばれる
たんぱく質が関与すること、さらに
ある特定の免疫細胞がRGMaを介して
神経傷害を引き起こすことを明らかに
しました。
 
 RGMaの働きを抑制する中和抗体の
投与によって、脳脊髄炎による神経傷害
を改善させることに、マウスの実験で
成功しました。
 
 今回の研究成果により、多発性硬化症を
はじめとした炎症を伴う中枢神経疾患に
対する新規治療薬の開発につながることが
期待されます。
 
 本研究成果は、2014年11月13日
(米国東部時間)に米国科学誌
「Cell Reports」の
オンライン速報版で公開されます。
 
 
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研究の内容
 
 Th17細胞は多発性硬化症の発症に
重要な細胞であることが知られています。
 
 そこで、Th17細胞に発現している
RGMaが、多発性硬化症において
どのような役割をもっているかを明らかに
するため、次のような実験を行いました。
 
 まず、中枢神経で活性化するTh17細胞
を、マウスから取り出して培養し、
別のマウスに移植して多発性硬化症に類似
した脳脊髄炎を誘導します。
 
 次に、Th17細胞を移植されて脳脊髄炎
を起こしたマウスに対して、RGMaの機能
を阻害することができる抗体注8) を投与
し、病状がどのように変化するのかを検討
しました。
 
 その結果、RGMa中和抗体を投与された
マウスでは、四肢の麻痺などの症状が改善
しました(図2)。
 
 さらに、このマウスの脊髄を観察した
ところ、RGMa中和抗体の投与を受けた
マウスでは、炎症部における神経細胞の
傷害が少なくなっていました(図3)。
 
 この実験結果は、Th17細胞が発現
するRGMaが脳脊髄炎による神経細胞
傷害を悪化させていることを示唆して
います。
 
 脳脊髄炎の炎症部では、Th17細胞が
直接神経と接触していることがわかって
います。
 
 また、RGMaは細胞膜上に存在する
たんぱく質です。
 
 Th17細胞がRGMaを介して直接的
に神経細胞を傷つけているのかを検討する
ため、Th17細胞と神経細胞の培養実験
を行いました。
 
 Th17細胞と一緒に培養した神経細胞
は死んでいく様子が多く観察されたのに対
し、RGMa中和抗体とともに培養すると、
Th17細胞による神経細胞死が抑制され
ました(図4)。
 
 また、Th17細胞の培養液のみでは
神経細胞死が観察されませんでした。
 
 この実験結果により、Th17細胞は
RGMaを介した直接的な接触により
神経細胞を傷つけていることが示され
ました。
 
 本研究はTh17細胞が神経を傷つける
メカニズムを明らかにしたものであり、
RGMaを阻害することが、多発性硬化症
の神経傷害に対して有効な治療法と
なりうることを示したものです(図5)。
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 素晴らしいですね。
 
 前からTh17細胞が多発性硬化症に
強く関与しているという研究報告が
ありましたが、その理由の一端を解明した
ものですね。
 
 関連投稿です。
2011年5月22日
 
 
>多発性硬化症の神経傷害機構は十分に
>解明されていなかった。
 そうですね。
 これでさらに一歩前進です。
 
>近年、Th17細胞は多発性硬化症のみ
>でなく、視神経脊髄炎注9) や
>アルツハイマー病注10) など、
>さまざまな脳神経疾患の病態に関わって
>いることが報告されています。
>今後、これらの脳神経疾患における
>Th17細胞の役割がより詳細に
>明らかになることで、有効な治療法が
>開発されることが期待されます。
 
 おおいに期待したい。

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