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2014年11月24日 (月)

Wmの憂鬱、ドライバー変異からパッセンジャー変異へ、抗がん剤開発の下克上が起こった【日経バイオテクONLINE Vol.2158】

Wmの憂鬱、
ドライバー変異からパッセンジャー変異へ、
抗がん剤開発の下克上が起こった
【日経バイオテクONLINE Vol.2158】
 
有料記事です。
 
 がん治療に下克上が起こったようです。
 すごく大きな変化です。
 一部、載せます。
 ご覧になってください。
 
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 がんのドライバー遺伝子の究明
→分子標的治療薬開発がもう時代遅れに
なりつつあることです。
 
 免疫ゲノム研究の進展により、がん治療
に下克上が起こったのです。
 
 今やトライバーより、パッセンジャー
(乗客変異)の方が命を救うマーカーに
なったのです。
 
 目が回るようなシンポ(進歩)でした。
 
 癌の免疫療法のジレンマは、確かに
画期的に効き、しかも長期生存する患者も
出るが、それが癌ワクチンでは少数、
最新の抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体などの
免疫チェックポイント阻害薬でも単剤では
20%前後にとどまることでした。
 
 効果のある患者を見つける
バイオマーカーの探索と最適な併用療法の
探索が始まりました。
 
 その意味で昨年発表された、
抗CTLA-4抗体
(免疫中枢のチェックポイント阻害薬)と
抗PD-1抗体
(末梢の免疫チェックポイント阻害薬)の
併用が、肺がんで60%以上の奏功率を示し、
腫瘍量も80%以上削減したことはショック
でした。
 
 腫瘍局所での癌免疫を復活させるために、
免疫チェックポイント阻害薬の組み合わせ
だけでなく、T細胞の活性化や癌のニッチ
の改変を目指した薬物療法が試される時代
となったのです。
 
 腫瘍免疫を丸ごと操作して、癌に対抗
する新しい戦略が現実化しつつあります。
 
 
 もう1つ驚いたのは、免疫ゲノム研究の
進展です。
 
 米Sloan Kettering Cancer Center chif
Melanoma&Immunotherapeutics
ServiceのJedd D.Wolchok博士の発表には
打ちのめされました。
 
 博士は米Bristol-Myers Squibb社
・小野薬品グループと緊密な共同研究関係
にあるのが救いですが、私の想像を遥かに
超えて、免疫ゲノムを応用していました。
 
 実際には抗CTLA-4抗体で長期に回復した
悪性黒色腫の患者の癌と効果が得られ
なかった癌患者の癌組織の
エクソーム解析によって、どのような
遺伝子変異を持つ患者が
免疫チェックポイント阻害剤の
レスポンダーなのかを網羅的に解析した
のです。
 
 同氏らによれば、抗CTLA-4抗体で奏功した
悪性黒色腫の患者の癌は奏功しなかった
患者と比べて突然変異の数は多かった。
 
 具体的には300以上のパッセンジャー変異
を持っていました。
 
 奏功しなかった患者はそれよりも100個
程度遺伝子変異が少ない傾向がありました。
 
 これはどういうことかというと、多数の
変異を獲得すれば獲得するほど、
そのがんは新規の抗原を獲得することに
なり、腫瘍の抗原性が増すということを
示しています。
 
 免疫のブレーキである
免疫チェックポイントを阻害し、免疫反応
のブレーキを外せば、抗原性の強い腫瘍に
関しては癌抗原特異的なキラーT細胞が
増殖、浸潤、そして治療効果を発揮する
というストーリーです。
 
 今まではドライバー変異を見つけること
が重要でしたが、今後は臨床的に意味が
少ないと思われていたパッセンジャー変異
を解析することが、癌の免疫原性を判断
するために重要となりました。
 
 とうとうゲノム解析が患者の
免疫プロファイルを記述できるところまで
来た。
 
 時代が変わりました。
 
 本日発表された「New England J. of
ゲノム解析と癌臨床研究の融合、そして
バイオインフォマティクスの助け無く
しては癌の治療がもうできないことを
現す記念碑的論文となりました。
 
 無料アクセスですので、
どうぞご覧下さい。
 
 嫌いだった数学なくしては、癌ももう
治らなくなってしまったのです。
 
 医学部の入試にインフォマティックスは
必須科目にしなくてはなりませんね。
 
 まったく時代が変わりました。
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 医学もダイナミックに変化しつつ
あります。
 
 がんの克服は非常に困難であると
思っていましたが、なかなかどうして
かなり良い成績を得られるようになる
かも知れません。

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