発がんに関わるマイクロRNA(miRNA)が分解される仕組みを解明 -がん細胞でのmiRNAの1つ「miR-21」の蓄積は分解抑制により生じる-
2014年8月19日
独立行政法人理化学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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理化学研究所は、がん細胞などの増殖を
促進するとされるマイクロRNA(miRNA)
[1]の1つ「miR-21」が分解される仕組みを
解明し、多くのがん細胞で、分解する
仕組みの異常によってmiR-21が蓄積して
いることを突き止めました。
これは、理研ライフサイエンス技術基盤
研究センター機能ゲノム解析部門
(ピエロ・カルニンチ部門長)の
ミヒル・デ・ホーンユニットリーダー
およびオランダ アムステルダム自由大学
のヨースト・ブレ大学院生らと、
理研予防医療・診断技術開発プログラム
(林崎良英プログラムディレクター)など
との共同研究グループの成果です。
DNAから転写されたRNAには、タンパク質
合成の遺伝情報を含まない
ノンコーディングRNA(ncRNA)が大量に
存在します。
ncRNAの中でも、miRNA と呼ばれる非常に
短い1本鎖RNAは遺伝子の働きを抑制する
機能を持ち、がんなどの疾患との関連が
注目されています。
miRNAは長さが18~24塩基程度であり、
末端の1または2塩基が異なる多型が
しばしば見られます。
しかし、なぜmiRNAにこのような多型が
存在するのか、その理由は明らかにされて
いませんでした。
共同研究グループは、miRNA の1つ
miR-21に、長さが異なる多型が存在する
ことを発見しました。
miR-21はがん抑制遺伝子を標的とし、
その機能を阻害することでがん細胞の増殖
を促進すると考えられています。
詳細な解析の結果、miR-21の長さの違い
は3’末端にアデニンが付加
(アデニル化[2])されたためであり、
さらに、アデニル化されたmiR-21は
核酸分解酵素[3]による分解が促進される
ことが判明しました。
多くのがん細胞でmiR-21が大量に発現
していますが、これは、“アデニル化した
miR-21を分解する仕組み”がうまく機能
せず、分解と安定化のバランスが崩れて
miR-21が異常に蓄積したためと考えられ
ます。
今回、miR-21の分解の仕組みとがん細胞
における異常な蓄積の関連が判明したこと
により、今後、miRNAの安定化と、がんを
含むさまざまな疾患の発症との関連に
ついても解明が進むと期待できます。
本研究は、文部科学省
ゲノムネットワークプロジェクトおよび
革新的細胞解析研究プログラム
(セルイノベーション)の支援を受けて
行われ、成果は米国科学アカデミー紀要
『Proceedings of the National Academy
of Sciences of the United States of
America(PNAS)』オンライン版に7月21日
(日本時間22日)に掲載されました。
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複雑ですね。
>miRNAの発現異常は、がんのほかにも
>心疾患やアルツハイマー型認知症など
>さまざまな疾患に関わることが示唆
>されています。
>今回の研究で明らかになったアデニル化
>を介したmiR-21の分解は、細胞内の
>miRNAの量を調節する一般的な仕組み
>である可能性があり、今後、miRNAの
>安定性とさまざまな疾患の関係について
>解明が進むと期待できます。
期待しますが、道は長そうです。
>マイクロRNA(miRNA)が存在します。
>miRNAは、標的となる塩基配列を持つ
>mRNAに結合してその分解や翻訳を阻害する
>作用を示すことから、遺伝子機能を抑制
>して制御する働きがあるとされています。
マイクロRNA(miRNA)の働きの解析も
大切。しかも多種存在する。
大変そう。
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