リンパ球の細胞接着制御の仕組み解明
2014年8月1日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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細胞の接着は生物にとって極めて重要
である。
体内で免疫を担うリンパ球が適切に移動
していく際に、細胞接着因子が前方に
集まっていく仕組みを、北里大学理学部の
片桐晃子(こうこ)教授と錦見(にしきみ)
昭彦准教授らが分子レベルで解明した。
免疫反応の理解を深め、免疫疾患の
病態究明や新しい治療法にもつながる発見
といえる。
関西医科大学の木梨達雄教授らとの
共同研究で、7月29日付の米科学誌
サイエンスシグナリングに発表した。
同誌はこの研究結果のイメージを表紙に
掲げて、発見をたたえた。
血液中を流れるリンパ球は、体内に侵入
した病原体などの異物を攻撃して排除する
役割を担っている。
この過程で、リンパ球は血管内皮細胞や
樹状細胞などとの接着が厳密に制御されて
いる。
それが動物の免疫監視の根幹をなす。
リンパ球がほかの細胞に速やかに接着
するには、LFA1という接着因子が細胞前方
に集中的に出てくる必要がある。
しかし、その仕組みは謎だった。
研究グループはマウスのリンパ球で
LFA1の動きを探った。
LFA1はリンパ球の細胞膜に散在するほか、
多数の予備群が細胞内部にある小胞に
くっついている。
この小胞の細胞内輸送に関わる
タンパク質を調べた。
その中で、Rab13が不活性型から
活性型に変わると、それが「荷札」
となってLFA1の集中的な輸送が起きて
いることを巧みな実験で突き止めた。
この輸送には細胞内のモータータンパク質
のミオシンが複合体を形成して機能して
いた。
Rab13を働かないようにしたリンパ球
では、表面にLFA1が集積せず、接着活性や
運動能力が低下していた。
Rab13を欠損したマウスを作ったところ、
リンパ球は移動できず、リンパ節や脾臓の
発育が悪かった。
一連の実験データをまとめると、
リンパ球の免疫機能の発現には、Rab13
が機能してLFA1が細胞内で輸送され、
細胞膜の局所への集積が欠かせないことが
わかった。
片桐晃子教授は「5年以上かけて苦労して
研究した集大成だ。
リンパ球が正常に機能するには、
こうしたLFA1の細胞内輸送が介在している。
LFA1が集中的に運ばれていく細胞膜の
部分がリンパ球の前方になる。
この発見は、リンパ球による全身の
動的な免疫システムの理解に貢献し、
免疫疾患の新しい治療法の確立にも役立つ
だろう」と話している。
関連リンク
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重要な発見のようです。
>一連の実験データをまとめると、
>リンパ球の免疫機能の発現には、
>Rab13 が機能してLFA1が細胞内で輸送
>され、細胞膜の局所への集積が欠かせ
>ないことがわかった。
>片桐晃子教授は「5年以上かけて苦労
>して研究した集大成だ。
>この発見は、リンパ球による全身の
>動的な免疫システムの理解に貢献し、
>免疫疾患の新しい治療法の確立にも
>役立つだろう」と話している。
期待したい。
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