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2014年8月 1日 (金)

次世代パワーデバイスの理想性能に近づく絶縁膜材料作製手法を開発 ~SiCと絶縁膜の界面欠陥解消による性能向上へ~

平成26年7月25日
科学技術振興機構(JST)
東京大学 大学院工学系研究科
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
〇パワーデバイスによる大幅な省エネは、
 材料由来の欠陥によって足踏みしている。
〇原因は材料生成時の熱処理における
 炭素残留であり、残留させない反応条件
 を見いだした。
〇結果、材料欠陥が世界最小値まで減少し、
 理想的な材料性能を発揮できることを
 確認。
〇この技術により、SiCパワーデバイス
 の高性能化と普及の促進が期待できる。
 
 
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 JST戦略的創造研究推進事業において、
東京大学 大学院工学系研究科の喜多 浩之
准教授らは次世代のパワーデバイス注1)
材料として期待されるシリコンカーバイド
(SiC)注2)上に形成される
絶縁膜材料との間の「界面欠陥注3)」を
大幅に低減し、理想性能に近づける
新しい改質手法を開発しました。
 
 エネルギー利用の高効率化への期待が
高まる中、その「切り札」の1つが
次世代パワーデバイスであり、変圧器や
インバータとして電力システム、
電気自動車、工場設備をはじめとする
多くの用途で電力損失を大きく低減
できると期待されています。
 
 また、従来の半導体材料(シリコン)
を用いたパワーデバイスによる電力の
利用効率は限界に近づいていますが、
SiCは、大幅な低電力損失での
制御・動作が可能であり、加えて機器の
小型化、低コスト化、高電圧機器への適用
が実現できるなど、次世代パワーデバイス
の理想的な材料として期待されています。
 
 しかし、理想的な材料であるSiCを
用いてパワーデバイスの構成素子である
トランジスターを作成しても、現状では
電気抵抗が大きい、動作信頼性が低い
などの課題が生じており、原因である
SiCと、その表面に形成される
ゲート絶縁膜注4)材料
(二酸化ケイ素・SiO2)との間の
「界面欠陥」を減らすことが求められて
いました。
 
 本研究者らは、ゲート絶縁膜を形成する
際に欠陥を生じるSiC由来の副生炭素を
一酸化炭素(CO、気体)として排出する
反応条件を用いることで、界面欠陥を大幅
に低減できることを発見しました。
 
 そしてデバイス素子のモデル構造を試作
し、界面状況を観察した結果、欠陥
(界面欠陥準位密度注5))が世界最小値
(1011cm-2eV-1以下)へ低減
できることを実証しました。
 
 本手法は、窒素系ガスを添加するなどの
付加的プロセスなしに、極めて高い品質の
界面を実現したものであり、各種産業
における利用が期待される手法と考え
られます。
 
 本手法により、長期安定性も含めた
SiCパワーデバイスの性能向上と普及が
可能となり「エネルギーの高効率利用」
への貢献が期待できます。
 
 本研究成果は、米国物理学協会発行の
応用物理学誌
「Applied Physics
 Letters」のオンライン版で
近く公開されます。
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 良さそうですね。
 
>この技術により、SiCパワーデバイス
>の高性能化と普及の促進が期待できる。
 
 と言っていますが、実用化の時期はいつ頃
になるのかな? (普及の時期)

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