中性の水から電子を取り出す「人工マンガン触媒」を開発 -水を電子源とした燃料製造に前進-
014年6月30日
独立行政法人理化学研究所
国立大学法人東京大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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水分子はクリーンで、かつ豊富に存在する
電子源(化学物質に電子を与える反応を行う
ための還元剤)であり、水素や有機燃料の
製造に重要な化学資源です。
自然界では、植物など光合成を行う生物
が、マンガンを含む酵素を利用して自ら
電子を取り出し、二酸化炭素からブドウ糖
や脂肪酸などの炭水化物を作り出して
います。
従来から、植物の水を分解する酵素の
構造をまねて、水から効率よく電子を
取り出す「人工マンガン触媒」の
研究・開発が行われてきました。
しかし、人工マンガン触媒は、強酸や
強アリカリ環境では効率よく水から電子を
取り出せますが、中性の環境ではこの活性
が大きく低下します。
人工マンガン触媒がどうして中性環境で
働かないのか、また、生体マンガン酵素と
人工マンガン触媒の違いは何か、など
については、これまで不明のままでした。
そこで理研と東京大学の共同研究
グループは、植物の光合成/水分解の仕組み
を利用し、中性の水を分解して電子を
取り出すことが可能な人工マンガン触媒の
開発に挑みました。
共同研究グループは、
「生体マンガン酵素と人工マンガン触媒の
活性の違いは、人工マンガン触媒の
電子/プロトン輸送の機構が違うことにある
のではないか」との仮説を立てました。
まず、人工マンガン触媒の電子/プロトン
輸送の経路をさまざまな水素イオン指数の
環境下で調べました。
その結果、水分解過程
(2H2O→O2+4e-+4H+)においては、
生体マンガン酵素では電子とプロトンが
同時に移動するのに対し、人工マンガン触媒
では、電子がプロトンに先行して移動する
ことを突き止めました。
これをもとに、研究グループは、
人工マンガン触媒にプロトン受容能力が
大きい塩基を添加し、水分解反応活性への
効果を検討しました。
その結果、添加した塩基のプロトン受容
能力が高くなるにつれ電流値が大きくなり、
電流がより低い電位から流れることが分かり
ました。
これは、中性の水を分解して電子を
取り出せることを示します。
最も高いプロトン受容能力をもつ塩基が
存在する環境では、塩基が存在しない場合
と比べて水分解活性が最大15倍増大し、
強アルカリで得られる値の60%にも
達しました。
これにより、電子とプロトンの移動の
タイミングを調整すれば、酸化マンガン
を使って中性の水を分解し、電子を取り
出せることが分かりました。
今回の成果は、豊富な中性の水を電子源
とした水素の製造や低環境負荷の有機燃料
製造につながると期待できます。
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良さそうですね。
最近燃料電池車が注目を浴び始めて
いますが、肝心な水素の製造に大電力
が必要なら環境に優しいと言うのが嘘に
なる。
その点、今回の成果は触媒反応により
水素を得ることができるということなので
大いに期待したい。
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