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2014年7月 4日 (金)

選択塩化法による電炉ダストからの亜鉛回収法の開発

2014 年 3月 5日
東北大学大学院工学研究科
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
かなり古い情報になりますが、
重要ではないかと思いますので
紹介しておきます。
 
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 東北大学大学院工学研究科
金属フロンティア工学専攻の佐藤讓
名誉教授、朱鴻民教授らは、電気炉で
鉄スクラップを溶解する時に発生する煙灰
(電炉ダストと言う)から
選択塩化法・溶融塩電解により、亜鉛を
効率よく回収する方法を開発しました。
 
 
【研究の背景】
 電炉ダストは電気炉で製造される鉄鋼の
1.5~2%、国内で年間、約 50 万トン発生
し、その中には25~30%の亜鉛が含まれて
います。
 
 元々は錆止めとして自動車用鋼板等に
使われた亜鉛めっきです。
 
 その量は国内で生産される亜鉛の
30~40%にも上ります。
 
 亜鉛の国内市場は 1,000 億円規模で
あり、日本は亜鉛鉱石を全量輸入して
いますので、極めて貴重な国内資源です。
 
 しかし、電炉ダストは多くの不純物を
含み、有害産業廃棄物ですので
電気炉メーカーでは処理費を払って処分
しています。
 
 これは日本に限らず世界的な問題に
なっています。
 
 
【研究成果の概要】
 今回、開発された回収法では図2に示す
ように、粗酸化亜鉛を経ることなく、
選択塩化法と呼ばれる方法で電炉ダストを
約1,000℃において、塩素と空気の混合ガス
で直接塩化して、電炉ダスト中の亜鉛を
塩化亜鉛としてガス状で分離します。
 
 この際、残りの大部分を占める鉄は
酸化鉄として固体のまま残ります。
 
 得られた塩化亜鉛を食塩
(塩化ナトリウム)と混合して溶融塩
という液体にしてから鉛等の不純物を
除いて浄化し、亜鉛の融点より高い
450℃で電気分解して高純度の亜鉛を
製造します。
 
 
【研究成果の意義】
 今回開発した方法は、従来法と比べると
以下の利点があり全体の回収コストを
大幅に削減できると共に、世界的な問題
である廃棄物としての電炉ダストの処理に
貢献するものと考えられます。
 
・電炉ダスト中の亜鉛を選択塩化する
 ことで塩素が障害とならず、容易に亜鉛
 と鉄を分離できます。
・従来法よりも亜鉛の回収率が高い
 (95%以上)と見込まれます。
・塩化亜鉛は食塩との混合溶融塩として
 不純物を除いた後で溶融塩電解を行い、
 高純度(99.99%)の亜鉛を得ることが
 できます。
 これは現在の最高純度規格を満たします。
・溶融塩電解は電流密度を大きくできます
 ので、設備がコンパクトで生産性が高く
 なります。
・得られる亜鉛は液体状なので、
 水溶液電解で必要な、電極からの電着物
 の剥ぎ取り工程が不要です。
・塩化後に残る酸化鉄等は、鉄源として
 電気炉に戻すことにより廃棄物を大幅に
 削減できます。
・全体の工程が短く単純なので、高温では
 ありますがエネルギー消費は少ないと
 考えられます。
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 良さそうですね。
 
>高純度(99.99%)の亜鉛を得ることが
>できます。
>これは現在の最高純度規格を満たし
>ます。
 素晴らしい。
 
 これでいままで無駄にしていた亜鉛を
かなり回収できそうです。
 
 ただ、
>全体の工程が短く単純なので、高温では
>ありますがエネルギー消費は少ないと
>考えられます。
 
 と言う言い方で、かなり抽象的なので
資源の有効利用という意味では重要な
成果ではありますが、直接輸入すること
との費用比較をするとどうなのでしょう?
 
 ちょっと気になりますね。

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