リチウムイオンがフラーレンの反応性を2400倍向上
2014年7月17日 大阪大学プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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発表のポイント
・球状炭素分子フラーレンの内部に
リチウムイオンを内包することで、
フラーレンのディールス・アルダー反応
(※1)における反応性が約2400倍向上
することを定量的に明らかにした。
・化学工業、医薬品合成にも用いられる
ディールス・アルダー反応がどのような
条件で加速されるか?という問題に、
全く同じ大きさで電子状態だけが違う
分子を用いることにより、初めてその
電子的影響のみを取り出して議論する
ことに成功し、触媒設計の新概念を
提示した。
・生成物として得られるリチウムイオン
内包フラーレン誘導体は、
有機太陽電池、リチウムイオン電池、
キャパシタ等への応用が見込まれて
いる。
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リリース概要
東京大学大学院理学系研究科の松尾豊
特任教授、大阪大学大学院工学研究科の
小久保研准教授、名古屋市立大学大学院
システム自然科学研究科の青柳忍准教授
らは共同で、世界で初めてリチウムイオン
内包フラーレン(Li+@C60、※2)の反応性
を定量的に測定しました。
その結果、リチウムイオンが入って
いない通常のフラーレンC60(※3)と比較
して、ディールス・アルダー反応の速度が
約2400倍速くなるという、リチウムイオン
の“分子内封入触媒効果”が明らかに
なりました。
また、化学工業、医薬品合成にも
用いられるディールス・アルダー反応は、
立体的な効果と電子的な効果により反応性
が左右されますが、今回の反応において、
通常のフラーレンとリチウムイオン内包
フラーレンは同じ外形・体積をもつため
立体的な効果に差はなく、内包された
リチウムイオンの電子的効果のみを議論
することができます。
これらの研究成果は、この反応の理解を
より深めることにつながり、新しい
触媒設計の指針となりえます。
また、生成物として得られる
リチウムイオン内包フラーレン誘導体は、
他のフラーレンを凌駕する有機機能性材料
として、今後、有機太陽電池、
リチウム電池、キャパシタなどの電池材料
への応用が期待されています。
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良さそうです。
>化学工業、医薬品合成にも用いられる
>ディールス・アルダー反応がどのような
>条件で加速されるか?
>という問題に、全く同じ大きさで
>電子状態だけが違う分子を用いる
>ことにより、初めてその電子的影響のみ
>を取り出して議論することに成功し、
>触媒設計の新概念を提示した。
これがミソですね。
触媒設計すごく重要ですから、
今後に大いに期待しています。
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