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2014年6月12日 (木)

脂肪細胞から分泌される脂質代謝酵素による肥満の新しい調節機構の発見

平成26年6月6日
公益財団法人 東京都医学総合研究所
東京都 福祉保健局
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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成果の要点
 
 村上研究員らは、高脂肪食を与えて肥満
になったマウスと通常食で飼育したマウス
の脂肪組織における遺伝子発現を
マイクロアレイ(発現遺伝子の網羅的解析)
により比較し、肥満後に発現が誘導される
脂質分解酵素を包括的に探索しました。
 
 その結果、
2種類の分泌性ホスホリパーゼA2注3)
(PLA2G5、PLA2G2E)が
肥満マウスの脂肪細胞に著しく発現誘導
されることを見出しました。
 
 そこで、この2種の脂質分解酵素の肥満
における発現誘導の意義を解明するために、
それぞれの遺伝子欠損マウスを用いて、
メタボリックシンドロームの表現型解析
を行いました。
 
 PLA2G5の欠損マウスに高脂肪食を
与えると、野生型マウスと比べて肥満が
増悪し、またこれに伴って内臓脂肪蓄積、
脂肪肝、高脂血症、インスリン抵抗性の
増悪が認められました(図1A)。
 
 欠損マウスの内臓脂肪組織では
炎症促進性のマクロファージ
(M1タイプ)が増加する一方、
炎症抑制性のマクロファージ(M2タイプ)
は減少しており、慢性炎症のバランスが
促進の方向に傾いていました。
 
 次に、PLA2G5による炎症抑制の
メカニズムをより詳しく解析するために、
リピドミクス(脂質の網羅的解析)注4)
を行いました。
 
 その結果、脂肪細胞から分泌された
PLA2G5は血漿中の
低密度リポタンパク質注5)粒子に作用
し、粒子を構成するある種のリン脂質から
不飽和脂肪酸
(オレイン酸、リノール酸など)を遊離
することがわかりました。
 
 肥満により肥大化した脂肪細胞から
大量に放出される飽和脂肪酸
(パルミチン酸など)は脂肪組織の
慢性炎症を引き起こし、
M1マクロファージを誘導します。
 
 PLA2G5の作用により遊離された
不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸
(パルミチン酸)による
M1マクロファージの誘導に対して
拮抗的に作用し、M2マクロファージへの
形質変換を促進しました。
 
 したがって、PLA2G5は
リポタンパク質粒子のリン脂質から
不飽和脂肪酸を動員することで、
脂肪組織の慢性炎症を抑制する役割を
持つことがわかりました。
 
 さらにマウスと同様に、ヒトの内臓脂肪
組織におけるPLA2G5の発現量と
血漿低密度リポタンパク質の量にも有意な
逆相関が認められたことから、
酵素(PLA2G5)と
基質(リポタンパク質)の関係はヒトに
おいても成り立つことが確認されました。
 
 免疫学的な観点から見ると、
M2マクロファージはTh2免疫応答注6)
と関連が深く、またTh2免疫応答は
肥満を抑制する方向に働くことが知られて
います。
 
 そこで村上研究員らは、PLA2G5が
免疫バランスの制御にどのように
関わっているのか検討しました。
 
 その結果、PLA2G5はIL-4や
IL-13などのTh2免疫応答時に
分泌されるサイトカインにより発現誘導
され、またTh2/M2免疫応答を促進
する機能を持つことが判明しました。
 
 さらに、PLA2G5は
直接マクロファージのM2への分化を促進
しました。
 
 したがって、PLA2G5欠損マウスは
体質的にTh2/M2免疫応答が
起こりにくい動物であり、この性質が
PLA2G5による肥満抑制の背景に
あるものと考えられました。
 
 またこのことは、
PLA2G5欠損マウスにおいて喘息
(Th2免疫応答)が改善することを
示した過去の論文とも合致するものです。
 
 一方で、もうひとつのリン脂質代謝酵素
であるPLA2G2Eの欠損マウスに
高脂肪食を与えると、上述の
PLA2G5欠損マウスの場合とは反対に、
野生型マウスに比べて肥満、脂肪肝、
高脂血症になりにくいことがわかり
ました(図1B)。
 
 リピドミクス解析の結果、
PLA2G2Eはリポタンパク質中に存在
するPLA2G5の標的リン脂質とは別の
種類のリン脂質を選択的に分解している
ことが判明しました。
 
 したがって、脂肪組織から分泌される
PLA2G2Eは、リポタンパク質の
微量リン脂質の量を調節することで、
脂肪組織や肝臓への脂質の運搬・貯蔵を
促進する役割を担う肥満誘導型酵素
であると結論しました。
 
 この発見は、これまで機能が全く不明
であったPLA2G2Eの生理的機能を
初めて解明したものであると同時に、
リポタンパク質に含まれる多様なリン脂質
の「質」と「量」の変動が全身の代謝に
異なる影響を及ぼすことを明確に示す
ものです。
 
 これまでに分泌性ホスホリパーゼA2は、
炎症細胞から分泌され、細胞膜のリン脂質
から脂質メディエーター注7)を動員して
炎症の増悪に関わるものと考えられて
きました。
 
 本研究は、脂肪細胞から分泌され肥満を
調節する分泌性ホスホリパーゼA2
(メタボリックsPLA2)を同定した
初めての研究成果です。
 
 「メタボリックsPLA2」の作用は、
従来の定説であった脂質メディエーター
に依存した経路を介してではなく、
リポタンパク質からオレイン酸などの
不飽和脂肪酸を動員して
脂質メディエーター非依存的に代謝性の
慢性炎症を抑制する点にあります。
 
 本発見は、本酵素ファミリーによる
リポタンパク質代謝の生理的意義を
初めて解明したと同時に、肥満の
新しい調節機構を提示するものです
(図2)。
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 素晴らしいですね。
 
>本研究は、脂肪細胞から分泌され肥満を
>調節する分泌性ホスホリパーゼA2
>(メタボリックsPLA2)を同定した
>初めての研究成果です。
 
 と言うことで言い換えれば、
 
>本発見は、本酵素ファミリーによる
>リポタンパク質代謝の生理的意義を
>初めて解明したと同時に、肥満の
>新しい調節機構を提示するものです
 とのことです。
 
>内臓脂肪組織における
>分泌性ホスホリパーゼA2の発現量や
>オレイン酸、リノール酸などの
>不飽和脂肪酸の量は、肥満の
>新規診断マーカーとなる可能性が
>あります。
 
>また、分泌性ホスホリパーゼA2を
>標的とした創薬は、
>メタボリックシンドロームの
>新しい予防・治療法の開発につながる
>ことが期待できます。
 
 期待しましょう。

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