細胞内共生で遺伝子発現は大激変
2014年6月12日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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細胞の中に別の細胞が共生する。
この共生は生物の初期進化の原動力の
ひとつだった。
その仕組みが遺伝子レベルでわかり
始めた。
ゾウリムシと近縁の原生動物の
ミドリゾウリムシが細胞内に多数の
クロレラを入れて共生する時に遺伝子の
発現ががらりと変わる事実を、島根大学
の児玉有紀(こだま ゆうき)准教授、
山口大学の鈴木治夫准教授、藤島政博
教授らが初めて確かめた。
細胞内共生がどのように成立し、維持
されているかを遺伝子レベルで解明する
新しい手がかりといえる。
基礎生物学研究所の重信秀治
(しげのぶ しゅうじ)特任准教授らとの
共同研究で、3月10日付の英オンライン
科学誌BMC Genomicsに発表したところ、
アクセス数が多い注目論文と認定された。
長さ0.1mmほどのミドリゾウリムシは、
細胞内に入り込んだクロレラに二酸化炭素
や窒素分を与える。
クロレラは光合成を行い、光合成で
得られた酸素や糖をミドリゾウリムシに
供給する。
互いにメリットをもたらし、
もちつもたれつの関係にある。
ミドリゾウリムシとクロレラは、
真核細胞同士の細胞内共生研究のモデル
として有望視されているが、遺伝子に
関する情報がほとんどなかった。
研究グループは今回、ミドリゾウリムシ
の網羅的な遺伝子カタログを作成した。
ミドリゾウリムシからRNAを抽出し、
基礎生物学研究所の次世代シーケンサー
で塩基配列情報を解読、大型計算機で
1万557個のミドリゾウリムシ遺伝子を
突き止めた。
次に、細胞内のクロレラと共生している
ミドリゾウリムシと、クロレラを除去した
ミドリゾウリムシから、それぞれRNAを抽出
し、共生の有無によって、
ミドリゾウリムシの遺伝子発現が
どのように異なるのかを調べた。
発現が変化するミドリゾウリムシの
遺伝子数は発現遺伝子総数の6割を超える
6698個もあった。
共生に伴って発現量が変化する遺伝子群
には、ストレスタンパク質遺伝子や
抗酸化作用を持つ遺伝子などが含まれて
いた。
こうした細胞内共生は地球上のいたる
ところで繰り返し起こり、細胞の中にある
核やミトコンドリアなども共生が起源
だったとみられている。
研究グループの児玉有紀島根大准教授は
「これまでは細胞内共生を顕微鏡で観察
してきたが、今回の成果で、遺伝子レベル
の解明ができる出発点に立った。
ミドリゾウリムシとクロレラの共生は
実験が容易で、簡単に研究できる。
この共生に伴う遺伝子発現変化を詳しく
解析して、共生の謎を解きたい」と
話している。
関連リンク
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すごく興味深い研究だと思います。
共生って、単にことなる細胞が細胞の中
に存在して、もちつもたれつの関係を持って
いるだけでなく、遺伝子レベルでも共に
関係し合っているんですね。
今までは、顕微鏡で表面から見える範囲
の関係しか分からなかったのが、これから
は遺伝子レベルの変化まで捉えられる
ようになった。
共生の謎は深いはず。
是非解明して頂きたい。
思っても見なかった関係が発見出来ると
思います。
期待したい。
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