腸管免疫系と腸内細菌の共生関係の構築に必須の分子を発見
平成26年4月29日
科学技術振興機構(JST)
東京大学 医科学研究所
理化学研究所
慶應義塾大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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JST課題達成型基礎研究の一環として、
慶應義塾大学の長谷 耕二 教授
(理化学研究所 客員主管研究員
/東京大学 医科学研究所 非常勤講師)
らは腸管の免疫細胞が腸内細菌注1)と
共生するために必須の分子をマウスの実験
で明らかにしました。
ほ乳類の胎児は母体内では無菌状態です
が、ヒトでは出生後直ちに100兆個にも
及ぶ膨大な数の細菌にさらされます。
生後の無菌環境から腸内細菌が定着する
際には、過剰な免疫応答を抑えるための
強力な免疫制御システムが働くと考えられ
ています。
免疫応答を抑制する細胞として、
制御性T細胞注2)が知られています。
しかし、どのような機構で制御性T細胞
が活性化し、病理的な炎症が抑制され、
腸内細菌と宿主免疫系の共生関係が構築
されるのかは長い間不明でした。
長谷教授らは、無菌状態から腸内細菌が
定着する際、大腸の制御性T細胞内の
Uhrf1注3)の発現量が高まることを
マウスにおいて発見しました。
さらに、T細胞においてのみUhrf1
遺伝子が欠損したマウス
(Uhrf1欠損マウス)では、
制御性T細胞が増えなくなり、その結果、
免疫抑制機能が弱く慢性大腸炎を発症
しました。
このことから、Uhrf1分子は大腸の
制御性T細胞が増殖し働く上で必須である
ことが分かり、宿主免疫系と腸内細菌が
共生関係を築く重要なメカニズムが明らか
になりました。
また、今回の成果は、腸内細菌と免疫系
のバランスの不均衡によって発症すると
考えられている炎症性腸疾患注4)の
病態解明や新たな治療法の開発に向けた
基礎的知見として役立つものと期待
されます。
本研究成果は、2014年4月28日
(英国時間)に英国科学誌
「Nature Immunology」
のオンライン速報版で公開されます。
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腸内細菌が何故共生できるのか?
研究進んできました。
大切なことです。
明らかに異物であるはずの腸内細菌と
共生することを選択した。
何故なのかよくわかりませんが、
人というか動物は良く出来てますね。
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