次世代型アルツハイマー病モデルマウスの開発に成功
2014年4月14日
独立行政法人理化学研究所
独立行政法人科学技術振興機構
詳細は、リンクを参照して下さい。
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アルツハイマー病のモデル動物を作る
場合には、これまでにAβの前駆体である
アミロイド前駆体タンパク質(APP)の
遺伝子変異が同定されているため、APPを
過剰に発生させたAPP過剰マウスが使用
されてきていました。
これを「第一世代アルツハイマー病
モデルマウス」と呼びます。
しかし、過剰発現したAPPが強い記憶
障害などを引き起こし、また脳内の
アミロイド蓄積もアルツハイマー病患者
との類似性が低いなど、ヒトの
アルツハイマー病モデルマウスとして
適切とは言い切れませんでした。
理研の研究チームは、より患者に近似
したモデルマウスの開発に取り組みました。
まず、APPの発現法として、従来の
過剰発現法ではなく、遺伝子を置き換える
「ノックイン技法」を用いました。
家族性アルツハイマー病の遺伝子変異を
多重に、かつ同時に組み込んだ
ターゲッティングベクター(特定の標的
遺伝子配列に変異を導入したり、欠損させ
たりするための組換えを行うベクター)を
作製し、ノックインによる遺伝子の置き
換えを行うことで「APPノックインマウス
(第二世代APPマウス)」の開発に成功
しました。
これまでのAPP過剰発現マウスでは、
12カ月齢からアミロイド斑の形成が認め
られますが、今回開発した第二世代APP
マウスでは、APPの発現量は野生型と同じ
であるにも関わらず、アミロイド斑の形成
は6カ月齢から確認できました。
また、齢を重ねるほどアミロイド斑が
多く形成され、蓄積するAβ種も患者と同様
でした。
神経炎症やシナプスの脱落もあり、
18カ月齢から記憶学習能の低下も認め
られました。
今回、開発したモデルマウスは、既存
モデルマウスに代わって世界標準になる
可能性が高く、未解明のアルツハイマー病
の病態メカニズムの解明や、予防・治療
のための創薬や診断法の開発など、
臨床応用の研究に欠かせないリソース基盤
になると期待できます。
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第二世代のモデルマウスの開発に成功
したとのこと、
より患者の脳のアミロイド蓄積に忠実
になったようです。
さらに研究が進むよう期待したい。
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