合成コスト下げる画期的触媒を開発
2014年04月03日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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触媒の開発は化学工業の歴史を革新して
きた。
有機合成に役立つ画期的な新触媒が誕生
した。
安価なコバルトと酢酸イオンを組み合わ
せて、希少で高価なロジウム触媒を上回る
触媒性能を実現することに、東京大学大学院
薬学系研究科の松永茂樹(まつなが しげき)
准教授と金井求(かない もとむ)教授、
星薬科大学の坂田健(さかた けん)准教授
らが成功した。
4月2日付の米化学会誌オンライン速報版
で発表した。
複雑な有機物の合成には、原料の特定位置
の炭素-水素結合だけを触媒でうまく活性化
して、一段階で変換するカップリング反応が
有効で、ロジウム触媒が広く使われている。
しかし、ロジウムは極めて希少で最も高価
な金属であるため、代替となりうる安価で
容易に入手可能な触媒の開発が待望されて
いた。
研究グループは、元素の周期表でロジウム
と同じ第9族のコバルトに着目した。
ロジウムが持つ炭素-水素結合の化学変換
の優れた触媒性能を、コバルトで代替する
手法を探った。
コバルトだけでは触媒性能がないが、
酢酸イオンと組み合わせると、高い触媒
性能を発揮することを見つけた。
理論計算によるシミュレーションで、
コバルトと酢酸イオンが協力して働いて
初めて、高い触媒性能が実現する様子も
確かめた。
このコバルトと酢酸イオンの新触媒は、
ロジウムと同様に炭素-水素結合の
化学変換の性能を示すだけでなく、原料
から一段階で一挙に有用物質を合成する
こともできた。
これによって、有機物の合成工程を大幅
に短縮できる可能性も示した。
コバルトはロジウムよりもはるかに多く
産出し、単価は千分の1程度。
この新しい触媒のコストは、調製に
かかる費用も含めて、ロジウム触媒の
数十分の1以下に削減できる。
安価で少ない工程で医薬品などに結びつく
有用な化合物が得られるので、創薬研究
への貢献が期待される。
外部関連リンク
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素晴らしいです。
このところ触媒関連の開発発表が続いて
いますが、良い傾向です。
>単価は千分の1程度で、原料から一段階
>で一挙に有用物質を合成することも
>できた。
>理論的に、ほかの新しい触媒開発への
>道も開いた
というのも良いですね。
期待したい。
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