関節リウマチ等の自己免疫疾患の新たな発症機構を発見
平成26年2月25日
大阪大学
科学技術振興機構(JST)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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<概要>
大阪大学 免疫学フロンティア研究
センター/微生物病研究所の荒瀬 尚 教授
らの研究グループは、自己免疫疾患で産生
される自己抗体が、異常な分子複合体
(変性蛋白質と主要組織適合抗原との分子
複合体)を認識することを発見し、それが
自己免疫疾患の発症に関与していることを
突き止めました。
<本研究成果の意義、社会に与える影響>
自己免疫疾患は、自己分子に対する抗体
(自己抗体)等が自己組織を誤って攻撃
してしまうことで生じる疾患です。
しかし、なぜ自己免疫疾患で自己抗体が
産生されるかは、依然として明らかで
ありません。
主要組織適合抗原注1)は、細胞内外の
タンパク質が細胞内でペプチドに分解
されたものを細胞表面に輸送してT細胞に
抗原として提示することで、免疫応答の
中心を担っています。
一方で、主要組織適合抗原は、自己免疫
疾患の罹りやすさに最も影響を与える
原因遺伝子として知られていますが、
主要組織適合抗原がどのように自己免疫
疾患を引き起こすかも明らかでありません
でした。
本研究では、通常は速やかに分解されて
しまう細胞内の変性蛋白質が、
主要組織適合抗原(MHC)によって
細胞外へ誤って輸送されてしまい、
その変性蛋白質が自己抗体の標的分子
であることを世界で初めて明らかに
しました。
つまり、主要組織適合抗原が細胞内の
変性蛋白質を自己応答性のB細胞に提示
することが自己免疫疾患の原因であると
考えられました(右図)。
実際に、関節リウマチ患者の血液を解析
すると、主要組織適合抗原によって細胞外
へ運ばれた変性蛋白質に対する特異的な
自己抗体が認められることが判明しました。
さらに、変性蛋白質と結合しやすい
主要組織適合抗原を持っているヒトは
持っていないヒトに比べて10倍以上も
関節リウマチになりやすいことを発見
しました。
これらの結果から、主要組織適合抗原
によって細胞外へ輸送されてしまった
細胞内の変性蛋白質が、自己免疫疾患の
発症に関与していることが判明しました。
本研究によって、今まで考えられてきた
自己免疫疾患の発症機序(図1)とは
全く異なる新たな発症機序(右上図)が
明らかになり、自己免疫疾患でなぜ
自己抗体が産生されるのか、
なぜ主要組織抗原が自己免疫疾患に
関わっているかという長年の自己免疫疾患
の謎を解明する上で、非常に重要な発見
です。
関節リウマチに限らず、その他多くの
自己免疫疾患も同様な発症メカニズムが
考えられるため、本研究成果は、今後、
多くの自己免疫疾患の治療薬や診断薬の
開発に貢献することが期待されます。
本研究成果は、米国の科学雑誌
『米国科学アカデミー紀要』
(2月24日付け:日本時間2月25日
午前5時)にオンライン掲載されます。
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重要そうな発見ですね。
>通常は速やかに分解されて
>しまう細胞内の変性蛋白質が、
>主要組織適合抗原(MHC)によって
>細胞外へ誤って輸送されてしまい、
>その変性蛋白質が自己抗体の標的分子
>であることを世界で初めて明らかに
>しました。
とのことです。
>本研究によって、今まで考えられてきた
>自己免疫疾患の発症機序(図1)とは
>全く異なる新たな発症機序(右上図)が
>明らかになり、自己免疫疾患でなぜ
>自己抗体が産生されるのか、
>なぜ主要組織抗原が自己免疫疾患に
>関わっているかという長年の自己免疫疾患
>の謎を解明する上で、非常に重要な発見
>です。
そう思います。
>関節リウマチに限らず、その他多くの
>自己免疫疾患も同様な発症メカニズムが
>考えられるため、本研究成果は、今後、
>多くの自己免疫疾患の治療薬や診断薬の
>開発に貢献することが期待されます。
自己免疫疾患は沢山あります。
今回の発見の展開に、期待したい。
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