研究成果「神経変性疾患の進行を予測する新手法開発」のお知らせ
2013 年 2 月 4 日
独立行政法人理化学研究所
分子イメージング科学研究センター
岐阜市立岐阜薬科大学
プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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研究内容
理化学研究所と岐阜薬科大学は、
神経変性の動物モデルとして緑内障モデル
サルを用い、神経変性疾患の早期診断や
病態把握を行う共同研究をおこなって
きました。
緑内障は日本における失明原因の第一位
の疾患で、40 歳以上の 5%にみられる非常
に発症頻度の高い疾患です。
その原因は、何らかの理由で眼圧が
長期間にわたって高いままになり、
その結果視神経や網膜が傷つくためと
考えられています。
しかし近年、障害を受けるのは視神経
だけでなく、目からの情報を受け取る脳の
神経にも変性が起きていることがわかり、
神経変性疾患としての治療ターゲットと
考えられるようになりました。
そのため緑内障を早期に確実に診断
できる新しい方法の開発が望まれており、
分子イメージング科学研究センターは
これまでにもPET(陽電子放出断層画像法)
という分子イメージング技術により緑内障
モデル動物を生きたままで非侵襲的に
調べる研究を行うことで、早期診断に
有用な PET 検査法について研究成果を報告
しています
(参考:理研分子イメージング科学研究
センターWeb サイト
「ニュース&インフォメーション2012
年 2 月 6 日:PET 検査で緑内障を早期に
見つける(-目の病気を脳で調べる新しい
診断法-)。
今回共同研究グループは、脳内の
神経線維を MRI で画像化する
拡散テンソル画像法を用いて 5 頭の
緑内障モデルサルの脳を調べ、網膜と
視覚野を結ぶ神経が変性する様子を詳しく
解析しました。
その結果、緑内障が進行した時の正常な
神経線維の割合は、眼圧の高さと経過時間
を累積した値(累積神経変性リスク)と
指数関数的な相関を示すことが分かり
ました(図1A)。
このことは、眼圧の異常がいつ、
どの程度生じたかの情報があれば、脳内の
神経変性を予測できることを示します。
これを検証するため、5 頭の個体の
緑内障の経過を継続的に調べたところ、
累積神経変性リスクから予測された
神経変性の程度と、拡散テンソル法で
実際に観察された神経線維の状態は
よく一致することがわかりました
(図1B)。
したがって、この予測方法を用いること
で、新しい治療を施した際に神経変性が
どの程度抑制されたかなど、症状の
進行・治療効果の予測を従来よりも高い
精度で行うことが可能となります
(図1C)。
今回開発した予測方法は、緑内障
のみならず、新規薬剤や治療法の評価が
難しいとされてきた神経変性疾患全般に
応用できる可能性があります。
神経変性の原因となるリスクと
拡散テンソル画像による診断を
組み合わせることにより、神経変性の進行
の予測や治療評価を行い、今後の
薬剤・治療法開発のスピードと精度を
上げることが期待できます。
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>緑内障は、その原因は、何らかの理由
>で眼圧が長期間にわたって高いままに
>なり、その結果視神経や網膜が傷つく
>ためと考えられています。
>しかし近年、障害を受けるのは視神経
>だけでなく、目からの情報を受け取る
>脳の神経にも変性が起きていることが
>わかり、神経変性疾患としての
>治療ターゲットと考えられるように
>なりました。
そうなんですか、知りませんでした。
眼圧の異常→網膜及び視神経の異常
→脳の神経変性
の順で異常が起こるということかな?
ということは、正常眼圧緑内障では
網膜及び視神経の異常→脳の神経変性
となるのかな?
>神経変性の原因となるリスクと
>拡散テンソル画像による診断を
>組み合わせることにより、神経変性
>の進行の予測や治療評価を行い、
>今後の薬剤・治療法開発のスピード
>と精度を上げることが期待できます
と言っていますが、
具体的な治療法にどう係わってくる
のかな?
気になるところです。
拡散テンソル画像による診断は
神経変性の進行を精度高く観察出来る
ようですので、神経変性疾患の有力な
診断法になりそうですね。
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