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2013年12月17日 (火)

鉄触媒が環境に優しい触媒として復活

06 December 2013
RIKEN Research Highlights
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 高分子樹脂で保護された鉄ナノ粒子触媒
が実用化されれば、工業的に重要な
化学反応において、高価で毒性も懸念される
金属触媒が不要になる
 
 水素化化学の泣きどころは、いまだに高価
な白金族触媒に依存していることである。
 
 白金族金属は供給量が限られている上、
価格変動が激しく、近年では環境毒性の
可能性に対する懸念も高まっていること
から、不飽和化学結合に水素を付加する
代替法が集中的に探索されていた。
 
 このたび、理研環境資源科学研究センター
の魚住泰広チームリーダー(TL)と
山田陽一副チームリーダー(副TL)は、
マギル大学(カナダ)および分子科学研究所
の研究者らと共同で高効率鉄系触媒を開発
した1。
 
 この新しい触媒は、工業的水素化プロセス
を一変させることが期待される。
 
 鉄(Fe)は、水素化反応も触媒できるが、
そのためには適切な条件を満たす必要が
ある。「鉄触媒は、従来の金属触媒よりも
はるかに高いガス圧力を必要とする上、
純粋な金属Fe(0)状態を維持させなければ
ならないのです」と魚住TLは説明する。
 
 実際、水素化中に鉄触媒が水や空気と
接触すると、酸化されて酸化鉄となり、
触媒としての働きを失ってしまう。
 
 そうした状況は、大規模食品製造業を
含む各種業界の要求に反しているため、
鉄は水素化触媒から除外されることが
多かった。
 
 魚住TL と山田副TLは、金属粒子を
高分子樹脂コーティングすることで,
水中で触媒として機能させる独自手法を
開発してきた専門家である。
 
 2人は、2012年の理研-マギル大学
合同サイエンスワークショップで
ナノスケール触媒の専門家である
Chao-Jun Li教授とAudrey Moores教授に
会い、互いが持つ専門知識を結集して、
高分子を利用した鉄ナノ粒子の安定化
という課題に取り組むことを決意した。
 
 魚住TLによると、金属ナノ粒子を水中で
機能させるために至適な高分子は両親媒性
でなければならない。
 
 つまり、鉄を保護すると同時に水性混合物
との相性を良くするために、高分子に水を
はじく成分と水を引き寄せる成分の両方が
含まれているようにしなければならない
のだ。
 
 この条件をかなえるため、彼らは、直径
わずか100 μmのポリエチレングリコールと
ポリスチレンの複合高分子ビーズを用いる
合成プロセスを開発した。
 
 このビーズの存在下で鉄前駆体を加熱する
と熱分解が起こり、高分子でコーティング
された鉄ナノ粒子が形成され(図2)高分子
で保護された丈夫でリサイクル可能な触媒
となる。
 
 研究チームは、新しい触媒の性能を
「フローケミストリー」という反応条件下
でテストした。
 
 ステンレスチューブで繋いだ
カートリッジ型リアクターの中で、
反応物質が鉄ナノ粒子のすぐそばを
流れるよう連続的にポンプで送られる
仕組みである。
 
 このシステムの主なメリットは、水素化
に必要な高圧水素ガスが、高分子担持
鉄ナノ粒子触媒を充填した高温の小区画
だけにとどまることである。
 
 これにより、高圧反応に伴うリスクが
大幅に低くなる。
 
 また、不飽和分子(炭素二重結合を有する
アルケン類)が高濃度触媒環境に置かれる
ため、水素化反応の質も向上する。
 
 研究者らは、このフローリアクターを
用いてモデル有機水素化反応を研究する
ことによって、鉄-高分子触媒が水系溶媒
に対して並外れた耐性を示すことを発見
した。
 
 他の鉄ナノ粒子がエタノール-水混合溶媒
(50:50)中で著しい活性低下を示すのに
対し、今回の鉄-高分子複合材料は、
純度99%の水中において理想的な効率で
水素化を実現した。
 
 水は、最も環境に優しい化学変換用溶媒
であるだけでなく、爆発事故の恐れを低く
して鉄ナノ粒子触媒の安全性を高める
重要な役割を果たす、と魚住TLは説明する。
 
 このフローケミストリーシステム
によって、様々な基質の有機水素化プロセス
の検討が容易となり,その結果、
この新触媒が他のタイプの
不飽和化学ユニットよりも炭素結合を
優先的に水素化することが明らかに
なった。
 
 こうした選択的水素化は工業に役立つ
ことが期待されるので、大型反応器で
よく見られるマルチグラム反応物条件
まで反応をスケールアップして、
さらにテストを行った。
 
 高分子で保護されたナノ粒子は、見事に
機能を発揮し、何時間も使用した後でも
ほんのわずかな活性低下しか示さなかった。
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 素晴らしいですね。
 
>工業的に重要な化学反応において、
>高価で毒性も懸念される金属触媒が
>不要になる
 時代も近いのかも知れません。
 
 大いに期待したい。

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