スポンジのような弾力性があり、メスでも切れる人工骨の開発に成功
平成25年12月11日
科学技術振興機構(JST)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
〇骨折などで欠損した骨組織を修復する
治療では、自分の骨に近い人工骨の
ニーズが高い。
〇骨と同じ成分・組成からなる人工骨で
弾力性があり、手術時の操作性が向上。
〇臨床試験により、術後早期に人工骨に
置換されることを確認。
〇医療機器の製造販売承認、保険適用を
受け、今後普及が期待される。
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JSTは、独創的シーズ展開事業・委託
開発の開発課題「生体置換型有機無機複合
人工骨の製造技術」の開発結果を成功と
認定しました。
この開発課題は、東京工業大学 大学院
理工学研究科 田中 順三 教授らの
研究成果を基に、平成15年3月から
平成24年3月にかけてHOYA株式会社
に委託して、同社ニューセラミックス事業部
(会社分割により現在はHOYA
Technosurgical株式会社)
にて企業化開発(開発費 約4.2億円)
を進めていたものです。
これまで市販されている人工骨注1)は、
移植後に元の骨と一体化する吸収置換性が
低く、もろくて操作性が良くないなどの
理由により、骨移植治療で使用される割合
は40%にとどまっています。
このため、骨移植治療の60%は自家骨
(患者本人の骨)や同種骨(患者以外の
人から提供された骨)が使用されています。
人口の高齢化に伴う骨折、骨腫瘍などの
骨移植を必要とする症例の増加を見据えて、
自家骨と同等の性能を持つ人工骨のニーズ
が高まってきています。
今回開発した人工骨は、骨と類似した
成分組成(水酸アパタイト注2)と
コラーゲン注3))で作製したスポンジ状
の多孔質体です。
この人工骨は弾力性を持つため、材料自身
が変形し、複雑な形状の骨欠損部に対して
補てん不良を生じずに補てんできます。
さらに、メスなどで簡単に切断・加工
できることから、従来製品と比較して
手術時の操作性を大幅に向上させることに
成功しました。
また、ヒトの骨と極めて類似している
構造と組成を持つため、骨の新陳代謝の
働きで次第に自分の骨と馴染んでいき、
最終的には人工骨が新たに形成された骨と
置き換わります。
臨床試験では、従来製品と比較して
術後早期に自家骨に置換することが確認
されました。
本品は販売名「リフィット」として
平成24年6月に医療機器製造販売承認を
取得し、平成25年1月に保険適用を
受けました。
現在、骨移植治療で使用される人工骨の
国内市場は約100億円とされていますが、
本品が広く普及することで自家骨の代替
として人工骨の使用率が拡大し、市場の
成長が加速するものと期待されます。
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素晴らしい。
以下3つの目標を達成できた。
1.弾力性を持たせることで手術時の
操作性を向上させる
2.生体骨と同じ成分・組成を持つ
3.生体内で自家骨への吸収置換性を持つ
広く普及すると良いですね。
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