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2013年11月 4日 (月)

熱電材料として期待される半金属

04 October 2013
RIKEN Research Highlights
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
少し前の情報です。
 
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 20世紀初頭、導体と絶縁体の中間の
振る舞いをする半導体は、一流の物理学者
の目にさえ、現実味も魅力もない概念
として映っていた。
 
 ところがそんな半導体は今、誰もが
認める現代エレクトロニクスの基盤に
なっている。
 
 同じく金属にも非金属にも分類できない
「半金属」もまた、現時点では
エレクトロニクスにおける実用性が
限られているが、これは初期の半導体と
同じ状況といえる。
 
 このたび、理研創発物性科学研究センター
(CEMS)と東京大学の共同研究チームは、
室温でこれまでになく高い熱電変換効率を
示す層状半金属化合物を見いだした1。
 
 この研究成果は、熱電材料としての
半金属の応用可能性を大きく広げる
ものである。
 
 以前は理研CEMSに所属し、現在は
東京大学に籍を置く石渡晋太郎准教授は、
共同研究チームを率いて新規
「スピントロニクス」デバイス(電子の
電荷の代わりにその磁気的性質を利用する
システム)に関する研究を行ってきた。
 
 その過程で彼の研究チームは、副生成物
として生じたセレン化銀(Ag2Se)が
複数の興味深い特性を示すことを発見した。
 
 まず、Ag2Seの電気抵抗は、磁場との
相互作用に依存して大きく変化すること
が明らかになった。
 
 この効果は巨大磁気抵抗(GMR)と
呼ばれ、電子デバイスに広く利用され、
磁気ハードディスクドライブから情報を
読み取るのに用いられている。
 
 また、Ag2Seは熱電変換効率が高く、
電流を流すと熱勾配が生じたり、片側を
冷却し反対側を加熱すると電流が発生
したりすることも分かった。
 
 GMRと高い熱電効率を兼ね備えた材料は
珍しく、特にGMRの出現は電子が非常に
流れやすいことを示唆している。
 
 Ag2Seのこうした挙動はすでに報告済み
だったが、研究チームはそれをさらに深く
掘り下げていった。
 
 「私たちはAg2Seの関連材料の研究を
始め、その1つであるCuAgSeが、
より強いGMR効果と、より高い熱電効率を
示すことを発見しました」と石渡准教授は
語る。
 
 CuAgSeとは、銀(Ag)とセレン化銅
(CuSe)が交互に重なった多層構造を持つ
半金属である(図1)。
 
 石渡准教授が「偶然から始まった」
と言うこの研究は、CuAgSeが非常に有望な
材料であることを明らかにした。
 
 CuAgSe中の電子が非常に動きやすく、
デバイス応用への有用性が高いことが
示されたのである。
 
 さらに興味深いのは、ニッケル原子を
「添加(ドープ)」すると電子の移動度が
高まるという発見だった。
 
 不純物原子は、ホスト材料の規則的な
原子格子に割り込むことから、材料の
バルクの電子物性を操作するのに利用が
可能だ。
 
 実際、不純物ドーピングは半導体の
導電性の制御だけでなく、熱電材料の
熱伝導挙動と電気伝導挙動の制御にも
利用されている。
 
 しかしながら、不純物導入には一般的に、
材料の電気伝導性を低下させ、総合的な
性能を損なうというありがたくない副作用
があった。
 
 ところが研究チームは、CuAgSeには
この一般論が当てはまらないことを
見いだす。
 
 「CuAgSe にニッケルを添加すると、
化学的には『汚れた』系になるのですが、
電子移動度は高くなったのです」と
石渡准教授は説明する。
 
 研究チームはこのように、熱電性能を
向上させるために材料を「汚す」と
電子移動度が低下するという従来の
トレードオフを克服することによって、
有望な材料を創り出した。
 
 この材料は、興味深い応用可能性を
新たにいくつも切り開くと期待される。
 
 研究チームが考える応用の1つに、
CuAgSeのペルチェ冷却素子(電流を用いて、
デバイスの片方の側からもう片方の側へと
熱を移動させる素子)への応用がある
(図2)。
 
 「これまで、低温で機能する熱電材料
といえば、ビスマス系材料だけでした。
 
 今回の研究で、銀-銅系材料が、室温に
近いかそれ以下の温度でより優れた
熱電性能を示す材料の候補として有望
であることが分かりました」と
石渡准教授は言う。
 
 CuAgSe材料の熱電性能を最適化する
ために、現在さらなる研究が計画されて
いる。
 
 「透過電子顕微鏡の専門家と共同研究を
行う予定です」と石渡准教授は語る。
 
 電子顕微鏡で観察すれば、材料の構造、
特に不純物がどのように組織化されている
のかを、より深く理解できるようになる
だろう。
 
 石渡准教授によると、共同研究の体制が
プロジェクトの強い推進力になってきたの
だという。
 
 CEMSでも、理研と東京大学の共同研究
でも、さまざまな背景を持つ研究者たちが
集まっている。
 
 「もし他の所で行われていたら、
このプロジェクトは成功していなかった
でしょう。
 
 私たちの研究グループは、物性科学全般
を幅広くカバーしていて、アイデアを
議論する機会が頻繁にあります。
 
 今回のように思いがけない研究成果を
手にするためには、そうした環境が不可欠
なのです」。
 
 かつてはその存在自体が疑問視されて
いながら、今日のエレクトロニクスの
発展を可能にしたのは他ならぬ半導体だ。
 
 同様に、CuAgSeをはじめとする先端的
熱電材料も、今後多くのことを可能にする
だろう。
 
 そうした材料は可動部品なしに有用な
機能を実現し、サイズもコンパクトで、
さまざまな電子デバイスやポータブル
クーラーなどの消費者製品の冷却素子に
使われると期待される(図2)。
 
 今回の高性能熱電材料の発見、
特にドーピングによる電子移動度増大の
実証は、熱電効果の研究や利用のための
新しく有望な基盤となるだろう。
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 半金属、興味深いですね。
 
>かつてはその存在自体が疑問視されて
>いながら、今日のエレクトロニクスの
>発展を可能にしたのは他ならぬ半導体だ。
>同様に、CuAgSeをはじめとする
>先端的熱電材料も、今後多くのことを
>可能にするだろう。
 
 可能性大いに有りですね。
 期待したい。

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