細胞の運命を左右する新しい分子メカニズムの一端を解明
2013年10月1日
独立行政法人理化学研究所
独立行政法人科学技術振興機構
詳細は、リンクを参照して下さい。
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デンマーク発祥の「レゴブロック」は、
組み合わせてさまざまな形状が作れる
知育玩具です。
円筒状の突起と空洞を結合して組み立て
ます。
子供のころ、自動車や怪獣を作って
楽しんだ経験をお持ちの方も多いこと
でしょう。
ところで、まだ何になるか決まって
いない細胞(未分化細胞といいいます)
の中でも、レゴブロックのように結合して
数珠つなぎを作る動きをすることが
あります。
この動きが細胞の運命を決定する
というのですから、興味がわきますね。
細胞の運命は、どの組織や臓器にも
変わり得る多機能性を維持した未分化細胞
の時期に決まります。
その際に、どの遺伝子をどこで発現
(オン)させるか、あるいは抑制(オフ)
するか、といった遺伝子発現の切り換え
が、細胞の運命を左右します。
この遺伝子発現のオン・オフの切り換え
を主に管理するのがポリコムタンパク質群
です。
ポリコムタンパク質群は、標的となる
遺伝子の特定の場所で「ポリコム複合体」
を形成し、細胞を分化させる遺伝子や
細胞増殖抑制に関わる遺伝子の発現を制御
して、幹細胞の多機能性を維持しています。
しかし、ポリコム複合体が遺伝子発現の
オン・オフをどのように制御しているのか、
そのメカニズムは解明されていません
でした。
理研の研究者らのチームは、
ポリコム複合体が細胞の核内にどんな形で
存在するかを確認するため、
ポリコムタンパク質を蛍光で検出できる
遺伝子改変マウスを作成しました。
この改変マウスの細胞を顕微鏡観察した
ところ、ポリコム複合体は活性化されて
いない遺伝子の特定部分で重合して連なり、
大きな「ポリコム構造体」を形成すること
が分りました。
この構造体が存在しない場合にどうなる
のかを知ることができれば、その役割を
理解できます。
そこで研究チームは、ポリコム複合体の
構成成分の1つである「Phc2タンパク質」
がもつ、まるでレゴブロックのように頭部
と尾部が結合して数珠つなぎのようになる
特性「自己重合活性」に注目し、その特性
を発揮できなくしたマウスを作製して解析
しました。
その結果、ポリコム構造体は消失し、
ポリコム複合体が抑制的に制御している
遺伝子の発現量も増加しました。
この異常によって、細胞の運命を変えた
1つの例として、本来は頸椎となるはずの
脊椎が胸椎の特性をもつようになりました。
このことから、ポリコム複合体が
遺伝子抑制機能を発揮するために
Phc2タンパク質によって重合し
「ポリコム構造体」を作ることが明らかに
なりました。
ポリコム複合体の重合を制御する
分子メカニズムの解明は、再生医療や
がん治療に役立つと期待できます。
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遺伝子のオン、オフが何によって、
どのように制御されているのか?
興味深いですね。
今回、その一端が解明されたようです。
>ポリコム複合体の重合を制御する
>分子メカニズムの解明は、再生医療や
>がん治療に役立つと期待できます。
まだまだ先は長そうですが、期待が
もてそうです。
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