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2013年10月21日 (月)

血管新生の分子メカニズム解明への第一歩

血管形成を調節し、抗がん剤の標的候補
にもなり得る重要な因子が、
理研変異マウスライブラリーの活用
によって明らかになった
18 October 2013
RIKEN Research Highlights
: Medicine
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 血管系が形成される際には、既存の血管
から次々と新たな細い血管が出芽して伸び、
該当する器官の機能に応じた特異的な
パターンの毛細血管網を形成する。
 
 血管新生と呼ばれるこの過程には、
いくつかの分子シグナル伝達経路の間の
複雑な相互作用が関わっており、これらの
経路は個々の細胞内でさまざまな種類の
タンパク質修飾によって統合されている。
 
 理研バイオリソースセンター
(茨城県つくば市)新規変異マウス研究
開発チームの権藤洋一チームリーダーらは
このたび、カナダの研究チームとの
共同研究で、血管新生を調節する分子を
突き止め、その作用機序を明らかにした1。
 
 この研究ではまず、カナダ・マウント
サイナイ病院のSabine Cordes率いる
研究チームが、顔面神経の出芽や血管新生
で分枝の異常が見られる変異マウスを発見
し、この変異マウスの遺伝解析から、
15番染色体の「gumby」遺伝子
(別名Fam105b)に変異が存在することを
明らかにした。
 
 そしてこの遺伝子について、権藤TLらが
「理研変異マウスライブラリー」を
スクリーニングしたところ、この遺伝子に
変異が生じている9系統の異なる
変異マウスが同定された。
 
 これを受け、Cordesらの研究チームは、
そのうち2系統について詳細な特性解析を
行った。
 
 これらのgumby変異マウスは、二十日の
胎生期の3分の2を超えるころに死んで
しまう。
 
 この変異マウス胎児の血管系の主要構造
は、一見すると正常に見えるが、頭部や
体幹部にある血管系の分枝は、健常な
マウス胎児のものと比べて不十分だった。
 
 gumby遺伝子は、脱ユビキチン化と
呼ばれる化学反応を触媒する酵素をコード
している。
 
 脱ユビキチン化とは、ユビキチンという
低分子タンパク質を別のタンパク質分子
から取り除く反応で、タンパク質の機能を
変化させることが判明している化学修飾の
1つである。
 
 さらに解析を進めたところ、gumby
タンパク質はDVL2というタンパク質と
相互作用してカノニカルWntシグナル
伝達経路を調節していることと、
別のHOIPというタンパク質とも相互作用
して転写因子NF-κBからユビキチンを
除去していることが明らかになった。
 
 また、変異タンパク質ではこれらの機能
が損なわれており、そのため、血管新生に
必須である遺伝子群の活性化が妨げられて
いることも分かった。
 
 そしてX線結晶構造解析からは、一対の
ユビキチン分子と結合しているgumbyの
三次元構造が明らかになり、解析した
2系統の変異がどちらもgumbyタンパク質の
三次元構造を変化させて、NF-κBとの結合
もユビキチンの除去もできなくしている
ことが判明した。
 
 血管新生の調節因子であるgumbyが
見つかったことで、いずれは、血管形成を
阻害して腫瘍の増殖や拡散を抑止する
新たな抗がん剤が登場することが期待
される。
 
 今回の研究では、理研の変異マウス
ライブラリーが保有する特定の
変異マウス系統を利用したことが成功の
カギとなった。
 
 「理研バイオリソースセンターの使命の
ひとつは、どの標的遺伝子にも、
いろいろな変異をもつマウス系統を
提供することです。
 
 世界中の研究者にぜひ、我々の樹立した
変異マウス系統をスクリーニング研究に
役立ててほしいと考えています」と、
権藤TLは語っている。
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 素晴らしい成果のようです。
 
 今回の研究では、理研の変異マウス
ライブラリーが役だったようです。
 
 いろいろな意味でデータベースを拡充
することは重要と思います。
 
>血管形成を阻害して腫瘍の増殖や拡散を
>抑止する新たな抗がん剤が登場すること
>が期待される。
 
 期待したい。

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