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2013年10月23日 (水)

光合成の中核をなす「歪んだ椅子」構造の謎をついに解明―触媒活性の要因特定で人工光合成系の実現に重要な一歩―

2013年10月15日
大阪大学研究成果リリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 高等植物や藻類の光合成では、
太陽エネルギーを利用して水を酸素と
水素イオンに分解します(図1)。
 
 この反応を行う光合成蛋白質
Photosystem II(PSII)※1中に
埋め込まれた天然の触媒部位
Mn4CaO5錯体※2は、錯体を構成する
マンガン(Mn)と酸素(O)間の結合が
数カ所で伸びており、結果として
「歪んだ椅子」型構造をとっています
(図2)。
 
 この歪んだ非対称性こそが水分解触媒
活性をもたらすのに重要であることが
知られています。
 
 この構造解明が進まないことが、効率的
な人工光合成系※3の開発を阻害して
おりました。
 
 このたび、大阪大学理学研究科の
石北央教授と、斉藤圭亮助教の
研究グループは、PSII蛋白質分子に対して、
今年のノーベル化学賞受賞対象となった
量子化学計算手法「QM/MM法」※4を行う
ことで、これまで、歪みの原因は
Caが一つだけ含まれていることによると
考えられていた定説を覆し、歪みの直接の
原因は「椅子」の「台座」部位に存在する
Caではなく、そこから離れた「背もたれ」
部位に一つだけ存在するMnであることを
明らかにしました。
 
 これにより、今後は人工光合成系の開発
が大きく加速することが期待されます。
 
 なお、石北央教授は今年のノーベル
化学賞受賞者Arieh Warshel教授
(南カリフォルニア大)のポスドク研究員
として、2008年まで研究していました。
 
 また、本研究成果は2013年10月2日
(オランダ時間)にオランダの
生化学専門誌
「Biochimica et Biophysica Acta」の
オンライン版で公開されました。
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 素晴らしい成果のようです。
 
>水分解を目指す人工光合成系の意義は、
>生成物の酸素よりもむしろ、
>同時に生じる水素イオン由来の水素を
>産み出すことにあります。
>水素は燃料水素電池に利用でき、
>必要なときにエネルギーを取り出す
>ことができるからです。
>水分解活性の鍵「歪み」の原因を
>特定できたことにより、今後は
>水素生成を目指した人工光合成系の
>開発が大きく加速することが期待
>されます。
 とのこと。
 
 期待しましょう。

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