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2013年9月30日 (月)

標的化薬物送達の巧妙な引き金

27 September 2013
RIKEN Research Highlights
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 タンパク質サブユニットが精密に集合
することにより形成される生体分子
「ナノキャリア」は、自然界ではよく
見られ、生体内のエネルギー通貨と呼ばれる
アデノシン三リン酸(ATP)を利用する
生体プロセスにおいて広く重要な役割を
果たしている。
 
 このたび、理研創発物性科学研究センター
超分子機能化学部門の相田卓三部門長が
率いる研究チームが、ATPを利用して薬物を
標的部位に送達する人工ナノキャリアの
プロトタイプを開発した1。
 
 この研究には、当時、東京大学大学院
博士課程3年のShuvendu Biswas氏らが
大きく貢献している。
 
 人工ナノキャリアを用いた標的化薬物送達
は、臨床研究における急成長分野であり、
特にがん治療を目的としている。
 
 腫瘍を特異的に標的とするよう設計された
これまでのナノキャリアは、pHのわずかな
変化を利用してがん環境を感知するものが
一般的であった。
 
 しかし、がん周辺のpHの変化は概して、
ナノキャリアによる薬物送達を選択的に
引き起こせるほど大きくはない。
 
 「ナノキャリアが高濃度ATPを感知し、
その構成要素の運動によってばらばらに
なるようにすれば、腫瘍組織や腫瘍細胞を
標的とする概念的に新しい
ドラッグデリバリー(薬物送達)システム
ができると考えました」と相田部門長は
語る。
 
 研究チームは、樽型のシャペロニン
タンパク質をマグネシウムイオンを介して
いくつも結合させ、チューブ状の
ナノキャリアを組み立てた。
 
 「自然界のシャペロニンは、
疎水性相互作用を通してその空孔に
変性タンパク質を取り込み、
リフォールディング
(タンパク質のたたみ直し)を助けて
います」と相田部門長は説明する。
 
 取り込んだタンパク質の
リフォールディングが終わると、
シャペロニンはATPと結合し、機械的な
開放運動によって空孔内のタンパク質を
外へと放出する。
 
 研究チームの目標は、ATPが可能にする
こうした開放運動を人工ナノキャリアに
利用して、薬物の輸送と放出を制御する
ことにあった。
 
 研究チームは、概念実証研究において、
ナノキャリアに取り込ませた
変性蛍光タンパク質がATPの作用を
通して元通りにたたみ直され、発光特性を
回復することを示して、シャペロニンが
生物機能を維持していることを実証した。
 
 また、ナノキャリアを用いて
担がんマウスに投与した蛍光色素が、
がん組織と肝臓に選択的に蓄積されること
も示した。
 
 相田部門長によると、ほとんどの
ナノキャリアは肝臓に吸収されて体外へ
排出されてしまうため、腫瘍組織や細胞
に到達できるナノキャリアはごくわずか
だという。
 
 研究チームは現在、
このドラッグデリバリーシステムをさらに
発展させようと努力を続けている。
 
 「現在は、実際の薬物を送達する研究を
進めています」と相田部門長は語っている。
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 シャペロンを利用するとは画期的です。
 
 ただ
>ほとんどのナノキャリアは肝臓に吸収
>されて体外へ排出されてしまうため、
>腫瘍組織や細胞に到達できる
>ナノキャリアはごくわずかだという。
 残念です。
 
 発想は素晴らしいと思います。
 
 がん細胞だけに薬物を送達する。
 今後に大いに期待します。

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