新しいコンピューター「知的ナノ構造体」の構築が可能に
独立行政法人理化学研究所
独立行政法人情報通信研究機構
国立大学法人東京大学
プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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脳をもっていないのに迷路の中に
置かれたエサに最短距離でたどり着く、
自分にとって害を及ぼす光を避けながら
難しい数学の問題を解く…。
単細胞生物の「粘菌」はこんな高度な
判断を平気でこなします。
この粘菌の不思議な能力は完全には
解明されていないものの、粘菌の
情報処理⇒意思決定のパターンを何かに
使えないかと真剣に考える研究者たちが
います。
セールスマンが多くの顧客を訪問する
最短ルートを決めようとすると膨大な計算
が必要です。
いわゆる「組合せの爆発」の問題です。
しかし、粘菌は多数あるルートを
それぞれ計算するのではなく、ある程度
ラフに、あたかも場当たり的に最適な
ルートを決めていきます。
ですから導き出したルートはベストな
ものではないかも知れません。
ただ、そのスピードが速ければ、正確さ
と速さの総合点で粘菌の意思決定は優れた
ものと言えます。
このように時間をかけずにある程度の
正解を出すことが求められるケースは
多々あります。
例えば、災害などで電力や通信の
ネットワークが被害を受けたときです。
災害時には、最も効率良く迂回できる
ルートをできるだけ速く見つけることが
求められます。
ちなみに最適ルートの分析は現在の
コンピューターが最も苦手としている
計算です。
今回、理研の研究者を中心とした
共同研究グループは、粘菌の行動原理と
近接して配置された量子ドット間の
近接場光(光の波長より小さな穴を通して
にじみ出した光)を介した光エネルギーの
移動プロセスに類似性があることを発見
しました。
そして、この類似性を利用し、粘菌の
行動原理を実際のデバイスに応用するため、
近接場光を利用した新たなアルゴリズムを
開発しました。
このアルゴリズムを
「多本腕バンディット問題
(複数のスロットマシンからできるだけ
速くできるだけ多くのコインを得る問題)」
を解くための量子ドットのナノシステムで
検証した結果、従来最も速いといわれて
いたアルゴリズム(Softmax法)を上回る
性能を示し、省エネ効果も認められました。
この成果は、ナノスケールの物理プロセス
に粘菌という生物固有の特徴を活用し、
全く新しい原理で動作する
「知的コンピューティングデバイス」や
「自律的に環境に適応して最適な意思決定
を行う知的なナノ構造体」を構築できる
ことを示しています。
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この研究も面白いですね。
>粘菌の情報処理⇒意思決定のパターン
面白いと思います。
>ナノスケールの物理プロセスに粘菌
>という生物固有の特徴を活用し、
>全く新しい原理で動作する
>「知的コンピューティングデバイス」や
>「自律的に環境に適応して最適な
>意思決定を行う知的なナノ構造体」を
>構築できることを示しています。
今後の発展に期待したい。
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