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2013年8月 9日 (金)

水素を液体化、体積500分の1に 千代田化工建設の新技術を聞く

2013/8/8 日本経済新聞
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 クリーンだが、かさばるのが難点と
されてきた水素の使い勝手を画期的に
向上させる技術を千代田化工建設が開発
した。
 
 液体化して体積を500分の1に小さくし、
常温・常圧で貯蔵や輸送が可能になる。
 
 水素社会への扉を開くものと国際的にも
注目を集める。
 
 同社技術開発ユニットの岡田佳巳技師長
に開発の背景などを聞いた。
 
 ――「SPERA(スペラ)水素」と
商標登録された新技術の中身を説明して
ください。
 
 「有機溶剤のトルエンと水素を化学反応
させメチルシクロヘキサン(MCH)
という化学物質にして水素を貯蔵・輸送
する技術だ。
 
 MCHは修正インクやボールペンの
インクなどに日常的に使われている。
 
 例えばガソリンなどと同じように
ためたり運んだりできる」
 
 「体積は500分の1になる。
 ガスの状態で500分の1にするとしたら、
500気圧の高圧ボンベに閉じ込める必要が
あるが、MCHなら常温・常圧で貯蔵
できる」
 
 「トルエンに結合して水素を固定化する
技術は以前から確立済みだった。
 
 これまで実用化できなかったのは、
MCHに固定した水素を再びガスの形に
分離する効率的な技術(脱水素化技術)が
なかったからだ」
 
 「1980年代にカナダの水力発電で
つくった水素を欧州に運ぶ
『ユーロケベック計画』で脱水素技術の
開発に挑んだが、できなかった。
 
 私は2002年に脱水素化の技術を開発しろ
と命じられ、ほぼ10年をかけて実用レベル
の技術を開発できた。
 
 ちなみにスペラはラテン語で
『希望せよ』という意味だ」
 
 ――脱水素化反応の触媒が開発の
ポイントですか。
 
 「従来の脱水素化触媒は寿命が課題で、
2~3日で使えなくなった。
 
 私たちが開発した触媒は1年
(8000時間以上)は十分使える。
 
 白金の触媒で、自動車排ガス浄化用触媒
と同じく、劣化したら回収して再利用が
可能だ。
 
 初期投資はやや高いかもしれないが、
運転コストは安い触媒だ」
 
 「白金の粒子をおよそ1ナノメートル
まで小さくし、(触媒反応の土台になる)
アルミナの上に均一に分散させてつけた。
 
 MCHの分子の大きさは0.6ナノメートル
くらいなので、白金粒子はほぼ分子と同じ
サイズだ。
 
 まさにナノサイズの触媒技術で、
世界でもほかに例がないと思う」
 
 ――どのような形で実用化を考えて
いますか。
 
 「まず想定しているのは、水素を大量に
製造・輸送するサプライチェーンだ。
 
 産油・産ガス国で天然ガスや石油の随伴
ガスから水素を生産し、MCHにして
タンカーで日本など消費国に大量輸送する」
 
 「水素製造時には二酸化炭素(CO2)
が生ずるが、これは油田に押し込んで
石油増進回収(EOR)か、
炭素回収・貯留(CCS)に使えばよい。
 
 CO2はいまは廃棄物扱いだが、
化石資源が枯渇する将来には貴重な
炭素資源になるはずだ。
 
 消費国に運んだMCHは脱水素化して
水素を化学工業や発電向けに供給する。
 
 普及期を迎える燃料電池車向けへの
供給も可能だ」
 
 「もう少し将来を見通せば、風力や
太陽光など再生可能エネルギーを使って
水素を生産して利用、CO2を排出しない
低炭素社会づくりにつなげたい。
 
 水素は天然には存在しない
2次エネルギーで、その点は電気と同じ
だ。太陽、風力などどんな1次エネルギー
からでもつくれる究極のエネルギーだが、
大量に効率よくためる技術がないことには
基幹エネルギーにはなれない。
 
 SPERA水素はそこを可能にした
という意味でゲームチェンジングな技術だ」
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 なかなかスケールの大きな話しですね。
 
 今後に大いに期待したい。

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