白血病の根治をめざして
19 July 2013 RIKEN Research Highlights
詳細は、リンクを参照して下さい。
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急性骨髄性白血病(AML)は難治性の
血液がんである。
患者の多くは、標準的な化学療法によって
白血病細胞の数が減少し症状が改善する
「寛解」の状態になるが、遺伝子異常
によっては再発率は高く、死の転帰を辿る
症例も少なくない。
このたび、理研統合生命医科学研究
センター・ヒト疾患モデル研究グループの
石川文彦グループディレクター(GD)
率いる研究チームは、白血病の再発を防ぐ
有望な薬剤の開発を目指す研究で、
マウスモデルにおいてAML細胞を死滅させる
ことのできる低分子化合物を発見した1。
研究チームはこれまでの研究で、AML患者
から得た白血病幹細胞では、血液細胞の
分化と増殖に関わるリン酸化酵素
「HCK(hematopoietic cell kinase)」が、
白血病でない被験者の血液幹細胞よりも
多く発現していることを明らかにしている。
今回、同研究チームは、このHCKが
白血病治療薬の標的候補になる可能性
について評価を試みた。
まず、培養AML細胞でHCKに特異的な
RNA分子を使ってHCKの発現を抑制した
ところ、AML細胞の増殖率および生存率が
大きく低下することが確認された。
次に研究チームは、理研創薬・医療技術
基盤プログラムの後藤俊男プログラム
ディレクターたちの協力を得て、
HCK阻害作用を持ちAML細胞に対して同様な
死滅効果のある化合物の探索を行った。
5万種類に及ぶ化合物を対象に
ハイスループットスクリーニングを行い、
そのうち最も可能性の高い複数の化合物
について、並行実施したコンピューター
モデルによるスクリーニングの結果と比較、
さらにX線結晶解析による構造解析を行った
ところ、ある1つの分子が非常に有望な
薬剤候補であることが判明した。
それが、ピロロピリミジン誘導体の一種
である低分子化合物「RK-20449」だ。
その効果を検証するため、試験管内で
培養したヒトAML細胞と、マウス生体内へ
移植したヒトAML細胞の両方を対象に実験
を行ったところ、RK-20449が白血病幹細胞
の数を減少させ、腫瘍組織量を低減させる
ことが確認された(図1)。
今回の結果が臨床現場でも再現できれば、
RK-20449は、米国やヨーロッパ、日本で
毎年新たにAMLと診断される2万8000人に
上る患者で、AMLの再発を予防・克服する
のに役立つものと期待される。
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素晴らしい成果のようです。
>「今回の成果が安全で有効なAML治療法の
>実現につながってほしいと思っています」
>と石川GDは語っている。
同感です。
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