鉄を用いた安価で効率のよい水素化触媒を開発
2013年6月27日
独立行政法人理化学研究所
マギル大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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「レアメタル」という言葉は実は
和製英語です。
英語圏では「マイナーメタル」と呼ばれ
ています。
マイナー/メジャーのマイナーです。
レアアースというのもあって、これは
レアメタルに包含されます。
2010年に中国が外交カードとして
レアアースの輸出を制限し、日本が大慌て
したことがありますね。
ところが政府が指揮し産業界も必死で
研究開発に取り組んだ
“レアメタル代替戦略”が功を奏し、
現在では中国のレメタル輸出が激減、
レアメタル産業が衰退しているそうです。
危機をバネにした驚異的な日本の
技術革新の前に、外交カードとしての力を
失ったようにも見えます。
今回の研究のポイントもレアメタル利用
からの脱却です。
地金の価格が1kgで100万円以上もする
パラジウムというレアメタルがあります。
石油化学製品の製造工程で重要な
水素化反応を進める触媒材料として
使われていますが、高価なことから、
安くて反応効率のいい触媒材料の開発が
求められていました。
理研とカナダ・マギル大学の
共同研究グループは、パラジウムの代替
となる触媒材料として、価格が1万分の1の
「鉄」に注目しました。
効率のいい鉄触媒とするために、水や
有機溶媒をスポンジのように吸収する
小さな球状の不溶性樹脂に、ナノ粒子の
鉄を付着する手法を採用しました。
開発した鉄触媒を使って水素化反応を
させたところ、従来法の数百分の1という
時間の1分以内で反応が進み、
石油化学製品の原料物質として広く利用
されているアルカンが効率良く
生成されました。
また、鉄触媒はこれまで問題とされて
いた酸素や水による触媒活性の低下がなく、
さらにエタノールやエタノール・水混合溶媒
などの毒性の低いアルコールを反応溶媒
として用いることで、安全性が高まる可能性
も見いだしました。
今後、安定性・耐久性を高める研究を
続けていきますが、マイナーメタルの
パラジウムからメジャーメタルの鉄へ、
水素化触媒における「メジャー」の位置付け
が変わる可能性があります。
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素晴らしいです。
>レアメタル利用からの脱却
>今後、安定性・耐久性を高める研究を
>続けていきますが、マイナーメタルの
>パラジウムからメジャーメタルの鉄へ、
>水素化触媒における「メジャー」の
>位置付けが変わる可能性があります。
大いに期待したいですね。
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