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2013年7月 6日 (土)

カギは対称性にあり

04 July 2013 RIKEN Research Highlights
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 球はどんなに回転させても同じように
見えるが、表面の1か所をへこませると、
この対称性は破れてしまう。
 
 磁気秩序や超伝導、結晶化など、固体で
見られる相転移の多くは対称性の高い状態
から低い状態への同様の変化によって決定
されている。
 
 理研仁科加速器研究センター初田
量子ハドロン物理学研究室の日高義将
研究員はこのたび、理論物理学における
長年の課題を解決することにより、
こうした系の低温での性質をその対称性
から予測できるようにする一般的な理論
を構築した1。
 
 いくつもの粒子からなる系が、それを
記述する物理方程式が持つ対称性よりも
対称性の低い状態を選ぶとき、物理学者は
これを「対称性の自発的破れ」と呼ぶ。
 
 その最も単純な例が強磁性体だ。
 
 強磁性体では、隣り合う電子のスピンが
同じ向きに整列することで電子系の
エネルギーが下がり、十分に低い温度では
全てのスピンが同じ向きになる。
 
 理論的には、全てのスピンが北西を
向いていようと南東を向いていようと、
この磁石のエネルギーは変わらない。
 
 つまり、理論上は回転対称だが、
実現したスピンの向きは回転対称ではない
ことになる。
 
 対称性の自発的破れによって生じた
「秩序のある状態」をかき乱すためには、
エネルギーはほとんど必要ない。
 
 例えば、磁石では、こうした乱れに相当
するのはスピン波と呼ばれるさざ波であり、
個々のスピンはそろった軸の周りをコマ
のように歳差運動する(図1)。
 
 こうした乱れ方が何種類あるのかが
わかれば、物質の低温での性質
(熱容量など)を理論的に計算すること
が可能だ。
 
 この数は、原理的には系の対称性が
どのように破られるかによって決まる。
 
 「数え方の一般則がわかれば、
低エネルギーや低温での系の振る舞いが
予測できるのです」と日高研究員は説明
する。
 
 1960年代には、粒子が光速に近い速度で
運動する相対論的な系での数え方のルール
が導かれた。
 
 「南部・ゴールドストンの定理」と
呼ばれるこのルールによると、起こり得る
乱れ方の数は相転移で破れた対称性の数に
等しい。
 
 南部理論の提唱以来、理論研究者たちは
長年、非相対論的な固体や液体に応用
できる、より一般的なルールを見いだそう
と努力を重ねてきた。
 
 日高研究員もこの問題に興味を持った
1人であり、同理論の提唱から50年以上を
経て今回、粒子の統計的運動の記述に
使われる理論を応用することによって、
求めていたルールを見いだすことに成功
したのである。
 
 日高研究員は、「南部・ゴールドストン
の定理の一般化は長年の課題でした。
 
 今回得られた数え方のルールは普遍的な
ものです」語る。
 
 今回の新しい定理は、理論的にモデル化
することが難しかった中性子星の研究にも
役立つのではないか、と日高研究員は期待
を寄せている。
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 すごい。
 
>乱れ方が何種類あるのかがわかれば、
>物質の低温での性質(熱容量など)
>を理論的に計算することが可能だ。
 
 そうなんですか?
 
>「南部・ゴールドストン
>の定理の一般化は長年の課題でした。
 
>求めていたルールを見いだすことに
>成功したのである。
 
>今回得られた数え方のルールは普遍的
>なものです
 
>今回の新しい定理は、理論的に
>モデル化することが難しかった
>中性子星の研究にも役立つのでは
>ないか、と日高研究員は期待を
>寄せている。
 
 素晴らしい成果ですね。

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