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2013年7月 6日 (土)

光を当てるだけで何度でも望む場所を加工できるヒドロゲルを開発

2013年7月3日
独立行政法人理化学研究所
独立行政法人物質・材料研究機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
・安全で活性に優れる光触媒「酸化チタン」
 をナノシートにしてヒドロゲル中に固定
 
・酸化チタンナノシートの光触媒機能を
 活用しヒドロゲルを高空間分解能で
 光加工
 
・生体の複雑さ、ダイナミクスに大きく
 近づいた「水の材料」を提案
 
 
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 理化学研究所と物質・材料研究機構は、
光(紫外光)を当てるだけで望みの場所を
何度でも加工できるヒドロゲル[1]の開発
に成功しました。
 
 これは、理研創発物性科学研究センター
創発ソフトマター機能研究グループの
相田 卓三グループディレクター
(東京大学大学院工学系研究科教授兼務)
と、創発生体関連ソフトマター研究チーム
の石田 康博チームリーダー、
劉 明傑(リュウ ミンジェ)特別研究員、
および物材機構国際ナノアーキテクトニクス
研究拠点の佐々木 高義フェロー、
海老名 保男MANA研究者らによる共同研究
グループの成果です。
 
 水を主原料とした固形物である
ヒドロゲルは、生体にも地球環境にも
優しいプラスック代替材料として、
近年、産業界、学術界両方からの注目を
集めています。
 
 しかし、従来のヒドロゲルのほとんど
は、古典的な鋳型法により成形されている
ため、単純な形状の塊としてしか得られ
ませんでした。
 
 また、一度成形した後に形状や組成を
変えることは困難であり、こうした制約が
ヒドロゲルの用途を著しく狭めてきました。
 
 共同研究グループは、光触媒として有名
な酸化チタン[2]のナノシートを使うこと
により、望みの場所を何度でも光加工
できるヒドロゲルの開発に成功しました。
 
 開発したヒドロゲルは、有機ポリマー
と酸化チタンナノシートとを連結すること
により3次元の網目を形成し、網目の隙間
に大量の水を閉じ込めたものです。
 
 これに光を照射すると、酸化チタンの
光触媒作用により、網目中の水分子が
高反応性のヒドロキシルラジカル[3]に
変換されます。
 
 このヒドロキシルラジカルを使った
化学反応を利用すると、ヒドロゲル中に
情報を書き込んだり、ヒドロゲルと別物質
とを強固に連結したりすることが可能と
なります。
 
 化学反応は光照射された部分でのみ進行
するため、リソグラフィー[4]微細加工が
可能です。
 
 さらにこのプロセスは、半永久的に安定
な酸化チタン触媒を用いるので、水と光
さえあれば何度でも繰り返すことが
できます。
 
 この成果は、ヒドロゲルの用途を飛躍的
に拡張するもので、酵素コンテナ、
薬物徐放システム、3次元的に加工された
細胞培地、人工臓器などをはじめ、
バイオメディカル分野でのさまざまな応用
が期待できます。
 
 本研究成果は、オンライン科学雑誌
『Nature Communications』
(6月18日付け:日本時間6月19日)に
掲載されました。
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 素晴らしい成果のようです。
 
>今回開発された材料を使うことで、
>ヒドロゲルを母体にした人工臓器
>のような複雑な構造体を作り出すことが
>可能となります。
 
>また、その形状を時間経過とともに
>成長させたり、外部環境に適応して
>変化させたりすることで、光が当たる
>ことで劣化部位を修復させたり、
>浄化させたりできる機能を引き出せる
>可能性もあります。
 
>酵素コンテナ、薬物徐放システム、
>3次元的に加工された細胞培地など
>への応用や、バイオメディカル分野での
>多様な応用が期待できます。
 
 再生医療にも応用できるんですね。
 期待したい。
 
 光触媒である酸化チタンは
この前取りあげた投稿でも使用されて
います。ご参考。
2013年6月24日

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