マウス生殖細胞から特徴的なエピゲノム領域を発見
2013年7月16日
独立行政法人理化学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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細胞では、染色体を構成するDNAや
タンパク質が後天的な化学修飾を受けて
おり、それぞれの細胞に特有な修飾パターン
(エピゲノム)で遺伝子の発現を制御して
います。
よく知られているのがDNAを構成する
4つの塩基のうち、シトシンの炭素原子に
メチル基(CH3)が付加される「メチル化」
です。
メチル化は重要なゲノム修飾の1つ
であり、その解析はDNAメチル化の制御機構
を理解するうえで重要ですが、従来の技術
で解析を行うには10万~100万個ほどの大量
の細胞が必要でした。
そのため、ごく少数しか得られない
マウス胎児の生殖細胞などには適用
できませんでした。
理研バイオリソースセンターの研究者
らは、生殖細胞に特有な遺伝子発現の
制御機構とDNA修飾の関連性を調べること
や、生殖細胞の特徴を兼ね備えた
細胞リソースを探索することを目的に、
遺伝子発現とDNAメチル化の解析をマウス
を用いて行うことに取り組みました。
少ない細胞でも解析できるように、従来
のDNAメチル化の解析法を見直し、偏りの
少ないDNA増幅など実験法の最適化や、
染色体全域が解析可能な
カスタムマイクロアレイの利用などの改良
を加えました。
その結果、最少100個という非常に少ない
細胞で解析可能な技術を開発しました。
この技術を用いてマウス胎児などの
生殖細胞を解析したところ、広範囲に
わたって低メチル化状態にあるDNA領域を
発見しました。
この領域には生殖細胞特有に発現する
遺伝子が集中しており、その中には
生殖細胞とがん細胞に共通して発現する
「がん精巣抗原」遺伝子も複数含まれて
いました。
通常、DNAの高メチル化は遺伝子発現を
抑制するので、DNAの低メチル化がこの領域
の遺伝子発現を促していることが分かり
ました。
これらの領域では、染色体を構成する
タンパク質(ヒストン)の修飾も特殊
であり、極めて”独特”なエピゲノム状態
にあることが分かりました。
今回、マウスの生殖細胞には、
がん精巣抗原を含む広い領域が低メチル化
状態にあるという成果を得ました。
これを手がかりに、細胞の分化や、
発がんに関与するエピゲノム研究が進み、
新しい診断法の開発や創薬につながること
が期待できます。
また、超微量解析技術は応用範囲が広く、
iPS細胞集団に不均一性をもたらす
エピゲノム状態の解析などへ展開すれば、
より高品質のiPS細胞作製も可能に
なります。
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>広範囲にわたって低メチル化状態にある
>DNA領域を発見しました。
「低メチル化状態にあるDNA領域を発見」
しただけで、メチル化メカニズムの
解明ということではないようです。
メチル化は遺伝子発現に多大な影響を
与えますので、その解明は大変重要だと
思っています。
今回の開発のミソは、
>従来不可能だった100個程度の細胞からの
>ゲノム修飾解析技術を開発
ですね。
これは応用範囲が広く、これからに
大いに期待したい
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