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2013年7月28日 (日)

がんを標的する抗体医薬の耐性因子を解明

平成25年7月25日
岡山大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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概要:岡山大学大学院自然科学研究科
ナノバイオシステム分子設計学分野の
妹尾昌治教授、笠井智成助教らの
研究グループは、抗体医薬に対する耐性
に関わるタンパク質と耐性機構を世界で
初めて明らかにしました。
 
 本研究成果は、2013年6月21日に米国の
科学雑誌『Journal of Cancer』に掲載
されました。
 
 乳がんの特効薬として一躍脚光を
浴びた「トラスツズマブ」は、がんの
細胞表面のHER2(または ErbB2)と
呼ばれるタンパク質に対する分子標的薬
で、HER2が過剰ながん細胞の乳がん患者
に使われます。
 
 しかし、この薬に耐性で効果が無い患者
も多く、原因解明が急がれています。
 
 今回の成果を応用することで、
抗体医薬品によるがん治療効果を予測して
奏効率を上げることや分子標的薬の開発に
大きく貢献することが期待できます。
 
 
<業 績>
 岡山大学大学院自然科学研究科
ナノバイオシステム分子設計学分野の
妹尾昌治教授、笠井智成助教らのグループ
は、ヒト乳がん由来 SKBR-3 細胞に
カベオリン(Cav-1)の遺伝子を導入する
ことにより、抗体医薬に対する耐性機構の
一つを初めて明らかにしました。
 
 抗体医薬品である「トラスツズマブ」は、
がん細胞の表面に発現している ErbB2 を
標的する分子標的薬です。
 
 がん細胞の表面にトラスツズマブが結合
すると、マクロファージやNK細胞といった
免疫細胞によってがん細胞が殺されます。
 
 これは「抗体に依存した細胞傷害効果
(ADCC)」と呼ばれ、トラスツズマブが
効果を示す仕組みです。
 
 しかし、ErbB2高発現のがん細胞で
あってもトラスツズマブが治療効果を発揮
できない患者が多いことが問題でした。
 
 妹尾教授らの研究グループは、かねて
より細胞の種類によりErbB2が細胞内に
取り込まれたり取り込まれなかったりする
ことを見出しており、これにはCav-1
というタンパク質の有無が関与すること
を示唆する実験結果を得ていました。
 
 今回、Cav-1遺伝子により形質導入した
ErbB2高発現細胞では、抗体が結合した
ErbB2はCav-1の働きに依存してがん細胞内
に取り込まれるため、血液中の免疫細胞は
抗体を認識できず、ADCCが起こらないため、
抗体薬に対して耐性となる機構が明らかと
なりました。
 
 また、ErbB2に特異的に結合する
人工ペプチド(EC1)にヒトIgG の
Fcドメインを融合したキメラ型の
抗体タンパク質 EC-Fc を用いた解析
によっても、この細胞はトラスツズマブ
と同様に耐性を示すことが明らかと
なりました。
 
 一方、Cav-1 を発現していない ErbB2
高発現の細胞では細胞内への移行が
認められませんでした。
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><見込まれる成果>
>Cav-1 の発現量がトラスツズマブによる
>治療方針の大きな判断材料となること
>が期待でき、また、治療予後の予測にも
>役立つと考えられます。
 
>今回の発見に関連して、妹尾教授らは
>ErbB2 を高発現しているがん細胞を
>標的としてがん細胞を殺傷する効果が
>Cav-1 の発現量に依存しない
>新しい分子標的薬の開発にもすでに
>成功しています。
 
>このため、抗体薬による治療で効果が
>認められないがんに対する治療薬の開発
>が大きく進展することが期待できます。
 
 良いですね。大いに期待したい。

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