窒素分子の切断と水素化を常温・常圧で実現
2013年6月28日
独立行政法人理化学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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窒素分子は化学式N2で表され、
常温・常圧で無色透明な気体です。
大気の約8割を占めるほど豊富に存在
しています。
2つの窒素原子が三重結合という強い結合
で結ばれているため、非常に安定な分子
です。
安定であるということは、逆にいえば
反応性が乏しいということで、ほとんどの
生物は大気中の窒素を直接利用することが
できません。
自然界で窒素の三重結合を断ち切れる
のは「ニトロゲナーゼ」という酵素を持つ
細菌だけです。
窒素は、肥料の3要素の1つに挙げられる
ほど農作物にとって重要ですが、農作物を
増産するには窒素酸化物など自然界が
作った固定窒素だけでは足りません。
これを解決したのがハーバー・ボッシュ法
で、触媒を使って窒素からアンモニアを合成
する手法です。
アンモニアは肥料から医薬品原料まで
幅広く産業利用されています。
ただ、この手法の難点は合成時に500℃
の高温と300気圧の高圧を必要とすること
で、アンモニア合成に使われている
エネルギーは、何と人類の年間消費量の
1%に上るといわれています。
研究グループは、より低温・低圧の下
でもアンモニアを合成できる新しい手法の
開発に取り組みました。
アンモニア合成では窒素分子の
「窒素―窒素結合」を切断し、
「窒素―水素結合」を形成しなければ
なりません。
そこで、3つのチタン原子と7つの
ヒドリド(マイナスの電荷を持った
水素イオン)原子からなる多金属ヒドリド
化合物を開発しました。
この化合物と窒素を反応させたところ、
常温・常圧で窒素分子の「窒素―窒素結合」
を切断し、「窒素―水素結合」を形成して
いることが分かりました。
常温・常圧で窒素がヒドリド化合物
によって固定され、水素化された初めての
例となります。
この反応では、窒素分子の切断のための
電子(e-)を与える電子剤や、
アンモニア生成に必要なプロトン(H+)
を与えるプロトン源を、新たに必要と
しませんでした。
チタンヒドリド化合物のヒドリド原子
(H-)が電子を与える電子剤として働いて
窒素分子の結合を切断し、また電子を放出
することでプロトン源の役割りを果たして、
窒素の水素化を実現しました。
この成果は、省エネ・省資源型の
新しいアンモニア合成法の開発につながる
と期待できます。
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これまた素晴らしい成果ですね。
>アンモニア合成に使われている
>エネルギーは、何と人類の年間消費量の
>1%に上るといわれています。
すごいエネルギーを使っているんですね。
それが今回の開発で常温・常圧で実現
出来るようになった。
素晴らしい事だと思います。
大いに期待したい。
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