ガラスは歪んだ 20 面体で埋めつくされている
平成25年7月 9日
東北大学 原子分子材料科学
高等研究機構(AIMR)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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東北大学原子分子材料科学高等研究
機構(AIMR)の陳明偉教授と平田秋彦准教授
らのグループは、ガラス物質の局所構造を
直接観察することに世界で初めて成功し、
その形が非常に歪んだ 20 面体となって
いることを明らかにしました。
また、小谷元子教授(AIMR)、松江要助教
(東北大学大学院理学研究科)との連携
により、ガラス構造の解析としては初めて、
数学的手法であるホモロジー解析を適応し、
歪み方の似ている 20面体がつながること
で、ガラス構造に特徴的な不規則で密な
構造をとっている可能性を示しました。
ガラス物質は、原子が規則性を持たず
非常に密に並んだ構造をしています。
1952 年に、ガラス物質の局所的な構造
はエネルギーが低く安定な 20 面体である、
という理論が提唱されて以来、多くの
研究者によってガラス物質での 20 面体の
重要性が示されてきました。
しかし、正 20面体だけをつなげると
隙間ができてしまい密な構造をとること
ができない、という矛盾がありました。
これまでは、ガラス物質の局所構造を
直接観察することができず、この矛盾は
解決されないままでした。
本研究グループは、金属ガラスの試料
に非常に細い電子線(10-9~10-10m)を
当ててできた回折図形を解析することで、
局所構造を直接観察することに成功
しました(図1)。
その形は、非常に歪んだ 20 面体と
なっており(図 2)、歪み具合を分析した
ところ、エネルギー的に安定な正20 面体
と、構造が密になりやすい面心立方構造の
中間の構造となっていることが分かり
ました(図 3)。
さらに、数学研究で用いられる
ホモロジー解析の結果から、物質全体で、
20面体の歪み方が非常に良く似ている
ことを明らかにしました。
この結果は、20面体であるために
比較的安定な状態を保ちながら、
面心立方構造に近い構造でもあるため、
物質全体で密な構造もとれることを示して
います。
今後は、ガラス物質の構造をより詳細に
解明することで、ガラス材料の性質向上や
新規材料の開発に向けて大きく貢献する
ことが期待されます。
本成果は、平成 25 年 7 月 12 日
(日本時間)に米国科学雑誌
「サイエンス」オンライン版で公開
されます。
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>ガラス物質の局所構造を直接観察する
>ことに世界で初めて成功し、
>その形が非常に歪んだ 20 面体となって
>いることを明らかにしました。
ガラスって歪んだ 20 面体なんですね。
知りませんでした。
わかっているようでその詳細は、
わからないというのがほとんど。
だから科学には限りがない。
知ろうとすると際限がない。
一つ理解できると、さらに多くの
疑問が生じる。
と言うのが科学。
わかっているのは真理のごく一部。
それがわかっているから、
真の科学者は謙虚なんです。
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