簡便で生体試料にやさしい組織透明化試薬「SeeDB」を開発
2013年6月24日
独立行政法人理化学研究所
独立行政法人科学技術振興機構
詳細は、リンクを参照して下さい。
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いくら言葉を尽くしても、1枚の写真が
語るメッセージに遠く及ばないことが
あります。
百聞は一見にしかず-。
視覚から入る情報は圧倒的な精度と量を
有します。
生物学の世界でも基本は「見る」こと。
今も昔も変わりません。
現在のライフサイエンス研究では、
細胞や組織の微細形状を3次元的に観察
する蛍光イメージングが盛んに行われて
います。
しかし、生体組織の光散乱の影響も
あって表面から数100μm程度までを見る
のが限界でした。
生体組織の深部のイメージングを行う
ために組織を透明化する方法も試みられて
いますが、透明化に時間がかかるうえ、
有機溶媒や変性剤などを使用するために、
蛍光色素や生体の微細な構造が損なわれる
などの問題がありました。
研究チームは、より簡易でかつ生体試料
へのダメージが少ない水溶性の透明化試薬
の開発に取り組みました。
その結果、ハチミツや果物にも多く
含まれるフルクトース(果糖)を主成分に、
水と微量の還元剤を加えた透明化試薬を
開発し、「SeeDB」と名付けました。
SeeDBは組織を変性させることがなく、
透明化によって生体試料の大きさや形状を
変化させることがありません。
ホルマリンで固定した脳などの生体試料
をわずか3日間で透明化できます。
また、蛍光タンパク質やさまざまな
蛍光神経トレーサーなども安定して
使えます。
実際に、厚さ6mmのマウスの脳を透明化
させ、蛍光色素を可視化できる顕微鏡で
観察しマウス脳の全体を可視化することに
成功しました。
これまで不可能だった左右の大脳半球を
つないでいる脳梁線維の1本1本を追跡
したり、匂い情報を処理する嗅球の詳細な
神経細胞の配線の様子も明らかにしました。
脂溶性の蛍光神経トレーサーで染色した
サンプルを透明化できることも特徴です。
SeeDBは、脳の神経回路図を丸ごと解明
する「コネクトーム(神経接続様式の
全体像)」解析や、生物の立体的な発生過程
の理解など「3D生物学」の発展に役立つ
ものと期待されます。
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素晴らしいですね。「SeeDB」
正に「百聞は一見にしかず」
>脳の神経回路図を丸ごと解明
>する「コネクトーム(神経接続様式の
>全体像)」解析や、生物の立体的な
>発生過程の理解など「3D生物学」の
>発展に役立つものと期待されます。
期待します。
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