« 世界最高変換効率44.4%を達成 ―集光型化合物3接合太陽電池― | トップページ | 皮膚色素細胞の脳内移植でパーキンソン病モデルの症状改善 »

2013年6月17日 (月)

古賀茂明「日本再生に挑む」

『週刊現代』2013年4月20日号より
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
---------------------------------------
官々愕々
「電力改革」の大ウソ
 
 安倍政権が、「電力システムの改革方針」
を閣議決定し、新聞には「発送電分離」の
見出しが躍った。
 
 しかし、今回の決定には、「電力会社の
既得権は全て守る」と書いてあることを
ご存知だろうか。
 
 まず、まえがきの中にある、「電気事業
に携わる者の現場力や技術・人材といった
蓄積を活かす」という文言。
 これは、改革をしても、電力大手の破綻
やリストラは避けますよという意味だ。
 
 次に電力小売りの自由化。
 
 気になるのが電力料金だ。
 自由化しても独占状態がすぐになくなる
わけではないから、電力会社による
「値上げ」自由化になっては困る。
 
 そこで、料金規制を「経過措置として
継続する」のだが、諸悪の根源である
総括原価方式については何も触れず、
抜本見直しの議論をうまく回避して
しまった。
 
 最大の目玉である発送電分離はどうか。
 
 検討段階では、その法案を「'15年
通常国会に『提出する』」となっていた
のに、閣議決定では「提出することを
目指す」との表現に変わった。
 
 霞が関文学では、「法案提出に向けて
頑張れば、結果的に法案提出ができなく
てもいい」という意味になったのだ。
 
 そもそも官僚達は、実施時期が「'18年
から'20年を目途」と書かれた時点で安心
していたはずだ。
 
 衆参両院の選挙が'18年まででも最低3回、
'20年までなら最低5回もある。
 
 その間に雲散霧消、と彼らは考える。
 
 「目途」が付加されてあいまいになり、
おまけに「目指す」となった。
 
 ここまでの骨抜きは珍しい。
 
 実は、閣議決定の中に「発送電分離」
という言葉は出て来ない。
 
 「法的分離の方式による送配電部門の
中立性の一層の確保」と書いてある。
 
 発電会社と送電会社を一つの持ち株会社
の下に置くという意味だ。
 
 関西電力が、関西電力ホールディングス
という会社になりますというに過ぎない。
 
 本来は、発電と送電の所有を分離して
完全に独立した別会社にすべきなのだが、
それはやらない。
 
 改革の途中で、「方式を再検討する
こともあり得る」と書いて、
さらに後退させる道まで残した。
 
 また、「いわゆる公益事業特権や税制等
について・・・・・・必要な措置を講じる」
として、今認められている特権は維持する
と宣言した。
 
 加えて、電力会社が発行する社債だけは
特別に保護するという恐ろしく過保護な
規定があるのだが、これも事実上継続する
と決めた。
 
 さらに驚いたのは、「原子力政策をはじめ
・・・・・・何らかの政策変更等に伴い
・・・・・・著しい不利益が生じる場合には
・・・・・・必要な政策的措置を講じる」
という文章だ。
 
 これは、原発の安全規制が厳しくなった
ことに伴う電力会社の負担増を税金
或いは電力料金でまかなうことを認める
というとんでもない話だ。
 
 悪乗りも甚だしい。
 
 今回決まった改革の第1弾、広域系統
運用機関(送電の公正を確保する組織)
の設立は、'15年目途。
 
 それまでは、電力会社が様々な嫌がらせ
で他企業の参入を邪魔することができる。
 
 これでは、有力企業による大規模参入は
望めない。
 
 「成長戦略の柱」という触れ込みも
結局は画に描いた餅となる。
 
 こんないい加減な改革案が出てくるのは、
今でも電力会社に天下りを受け入れて
もらっている経産省が改革案を作っている
からだが、肝心の電力事業の規制権限
については、「独立性と高度な専門性を
有する新たな規制組織へと移行」と
書いただけ。
 
 経産省の出向者で固めた新組織ができる
ことになる。
 
 経産省と自民党がやる限り、電力改革は
いつも形だけ。
 
 国民はまたしても騙されることになる
のか。
 無力感だけが残る閣議決定であった。
---------------------------------------
 
 確かにご指摘の通りだと思います。
 
>無力感だけが残る閣議決定であった。
 同感です。
 
 EUはとうの昔に送配電分離済み。
 
 日本は本当のガラパゴス。
 
 政治家も悪いが、国民もなっていない。
 選挙の投票率を見ればわかる。
 
 安倍内閣の支持率もそう。
 そんなに支持できる施策を打っているの
だろうか?
 
 何を考えているのかわからない。
 未来を担う子供達にどういう社会を
築きたいのだろうか?
 
 真剣に考えているのならもっと怒って
良いはず。

|

« 世界最高変換効率44.4%を達成 ―集光型化合物3接合太陽電池― | トップページ | 皮膚色素細胞の脳内移植でパーキンソン病モデルの症状改善 »

経済・政治・国際ニュース」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 古賀茂明「日本再生に挑む」:

« 世界最高変換効率44.4%を達成 ―集光型化合物3接合太陽電池― | トップページ | 皮膚色素細胞の脳内移植でパーキンソン病モデルの症状改善 »