« マシンツーマシン通信技術を用いた仮想電力会社環境下での1000家庭の電力需給制御実験に成功 | トップページ | 組み換えクモの糸を織ったのは82歳のお婆さん【日経バイオテクONLINE Vol.1887】 »

2013年5月27日 (月)

大人の神経幹細胞を、長期に維持させるタンパク質を発見

2013/5/22 東京大学
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
---------------------------------------
 哺乳類の大人の脳において、脳室下帯
および海馬という少なくとも2ヶ所に
ニューロンを作る細胞「神経幹細胞」が
存在し、毎日ニューロンが新しく
作られます。
 
 これらの新生ニューロンは回路に
組み込まれ、記憶の形成、本能行動、
ストレスからの回復などに重要な役割を
果たしていると考えられています。
 
 そしてニューロン新生が異常に低下する
と、抑うつなどの気分障害につながること
も示唆されています。
 
 従って、神経幹細胞を維持し、
ニューロンを必要な数作り続けることは
豊かな生活にとても重要であると
考えられます。
 
 しかし、どのような仕組みで神経幹細胞
が何十年もの長い間維持されているのかは
必ずしも分かっていませんでした。
 
 特に、胎生期にたくさん存在していた
神経幹細胞は生後ほとんどの場所で
ニューロンを産まなくなりますが、
脳室下帯と海馬ではなぜか神経幹細胞は
大人まで生き残りニューロンを作り続け
ます。
 
 おそらく脳室下帯や海馬にだけ、
神経幹細胞を維持する微小環境(ニッチ)
シグナルが存在すると予想されて
いましたが、それが何であるかは不明
でした。
 
 今回私たちの研究から、
Dll1 (Delta-like 1)というタンパク質が
成体の脳で神経幹細胞を維持する
ニッチシグナルであることが明らかに
なりました。
 
 Dll1を成体脳で人為的に失くすと、
神経幹細胞は維持されなくなります。
 
 更に興味深いことに、Dll1を提示して
神経幹細胞を維持する「ニッチ」は、
神経幹細胞が分裂して産まれた娘細胞
であることもわかりました。
 
 神経幹細胞がそのままニューロンに
分化してしまうと、すぐに神経幹細胞は
なくなってしまいますので、分裂して
出来たふたつの細胞のうちひとつだけを
ニューロンに分化させるという
「非対称分裂」を行って巧妙に神経幹細胞
の数を保っていると予想されていました。
 
 今回私たちは、実はDll1は分裂中に
偏った局在をすることで、分化する側の
娘細胞にだけ渡されて、もとの神経幹細胞
を維持しているということを明らかに
しました。
 
 つまり、神経幹細胞の場合、子供が
その親を支えているという構図に
なります。
 
 胎生期の神経幹細胞と違って、大人の
脳の神経幹細胞は非常にまれにしか分裂
しません。
 
 おそらく神経幹細胞の分裂できる回数
には上限があって、素早く分裂しすぎる
とその上限にすぐに達してしまい、分裂
しなくなると予想されます。
 
 そこで、出来るだけ分裂頻度を抑えて
長期間(一生)保っているのでしょう。
 
 今回の私たちの結果から、Dll1の
シグナルは神経幹細胞が分裂後に
ちゃんと休眠状態に戻るのに必要である
ことも見出しました。
 
 神経幹細胞がニューロンを作るために
分裂した際に、Dll1のシグナルが入るので
無事また休眠状態に戻ると考えられます。
 
 このような「初期化システム」が働いて
分裂し過ぎを防ぎ、長期間の維持に
つなげているのでしょう。
 
 老化すると、確実に神経幹細胞や
ニューロン新生は減少し、それが記憶力の
低下など様々な脳機能の劣化と結びつけ
られています。
 
 また、前述のように、ストレスや
精神疾患との関連でニューロン新生の
低下が起こることも示唆されています。
 
 従って、高齢化社会・ストレス社会を
迎え、「成体の神経幹細胞をいかに効率
よく維持して、必要なニューロン新生を
一生サポートするか」は重要な社会的課題
です。
 
 今回の発見は神経幹細胞の維持に重要な
タンパク質を同定し、維持する際の
メカニズムを一部明らかにしたことに
よって、この課題の解決に近づく一歩に
なったのではないかと期待しています。
---------------------------------------
 
>高齢化社会・ストレス社会を迎え、
>「成体の神経幹細胞をいかに効率
>よく維持して、必要なニューロン新生を
>一生サポートするか」は重要な
>社会的課題です。
 
>今回の発見は神経幹細胞の維持に重要な
>タンパク質を同定し、維持する際の
>メカニズムを一部明らかにしたことに
>よって、この課題の解決に近づく一歩に
>なったのではないかと期待しています。
 
 そうですね。期待しています。

|

« マシンツーマシン通信技術を用いた仮想電力会社環境下での1000家庭の電力需給制御実験に成功 | トップページ | 組み換えクモの糸を織ったのは82歳のお婆さん【日経バイオテクONLINE Vol.1887】 »

医療関連ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210730/57469653

この記事へのトラックバック一覧です: 大人の神経幹細胞を、長期に維持させるタンパク質を発見:

« マシンツーマシン通信技術を用いた仮想電力会社環境下での1000家庭の電力需給制御実験に成功 | トップページ | 組み換えクモの糸を織ったのは82歳のお婆さん【日経バイオテクONLINE Vol.1887】 »