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2013年4月 3日 (水)

SPring-8の明るさ3倍に

2013年4月2日
独立行政法人理化学研究所
公益財団法人高輝度光科学研究センター
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
・55年ぶりに定説を打ち破って実現した
  画期的な手法
 
・XFELとの協調利用が期待される
 次世代リング型放射光光源の開発に貢献
 
・実現すれば、生物試料などをそのまま
 原子レベルの分解能で長時間観察が
 可能に
 
 
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 理化学研究所と高輝度光科学研究センター
は、特殊な高周波電場を使用し、電子ビーム
の広がり(エミッタンス[1])を低減する
ことによりX線の輝度(明るさの指標)を
大幅に向上する手法を考案しました。
 
 この手法を大型放射光施設SPring-8[2]
の蓄積リングに適用すると、輝度が約3倍
向上することが分かりました。
 
 これはJASRI加速器部門の下崎義人研究員
と理研放射光科学総合研究センター
XFEL研究開発部門の田中均部門長らの
研究チームによる成果です。
 
 近年、「SACLA(さくら)」[3]などの
X線自由電子レーザー[3](XFEL)の登場
により、原子レベルの高分解能で極めて
短い時間スケール(1000兆分の1秒程度)
の観察が可能になりつつあります。
 
 しかし、XFELは強い強度のため瞬時に
観察試料を破壊してしまうことから、
長い時間にわたり現象をじっくり観察する
には不向きです。
 そこで、試料を破壊せずに、生物試料
などをそのまま結晶化せずに観察可能な
光源として「次世代リング型放射光光源」
が注目され、その開発に世界中がしのぎを
削っています。
 この超高輝度リング型放射光光源の実現
には、輝度を制限する水平エミッタンスを
現状から大幅に低減する必要があります。
 
 その1つの可能性として、
エミッタンス交換[4]により
水平エミッタンスを低減する方法が
知られていましたが、従来の磁場を用いる
方式ではさまざまな問題があり、
SPring-8などの既設の放射光光源への
導入は困難でした。
 
 そこで研究チームは、これらの問題を
克服するため、従来の方式とは全く異なる、
高周波電場を用いる方式を考案しました。
 
 これは、「電場を使用して振動モード
[5]間でのエミッタンス交換はできない」
という長年の定説[6]を55年ぶりに覆す
もので、学術的にも大きな発見です。
 
 今回考案した手法は、既設の放射光光源
の性能向上だけでなく、XFELとの協調利用
により、ものづくりに必要となる多くの
情報が得られると期待される
次世代リング型放射光光源の実現にも
大いに貢献します。
 
 本研究成果は、米国の科学雑誌
『Physical Review Letters 』に
近日中に公開されます。
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>従来の方式とは全く異なる、高周波電場
>を用いる方式を考案しました。
>高周波電場を発生する空洞
>(カップリング空洞)を1対置き、
>その間の水平振動の位相を半周期になる
>ように調整して、磁場の効果を2つの
>空洞の間に閉じ込めました。
>これにより電場の効果だけを
>足し合わせることに成功し、この手法
>をSPring-8に導入したときの
>シミュレーションでは、現状の3倍の
>輝度が得られることを確認しました。
>これは電場を使ったエミッタンス交換
>はできないという長年の定説を55年ぶり
>に覆すもので、学術的にも大きな発見
>です。
 
 とのことです。
 素晴らしいですね。
 
 これでさらにいろいろな発見に寄与
できると期待出来ます。

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