« 哺乳類受精卵のリプログラミングに重要な遺伝子を世界で初めて発見 | トップページ | 活性酸素などから遺伝物質を守る仕組みを解明 »

2013年4月11日 (木)

初期化を阻害する転写因子が分化を促進する

2013年4月2日
京都大学 研究お知らせ
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
--------------------------------------
 引地貴亮 iPS細胞研究所(CiRA)研究員、
升井伸治 同講師らの研究グループは、
iPS細胞への初期化を阻害する(干渉する)
因子が分化誘導を促進することを明らかに
するとともに、分化細胞が初期化される
メカニズムの一端を解明しました。
 
 この研究成果は2013年4月1日の週
(米国東部時間)に米国科学誌
「Proceedings of the National
Academy of Sciences」のオンライン版
に掲載されます。
 
 
-------
概要
 転写因子は細胞の中で遺伝子の働きを
調整することで、細胞の分化を促したり、
反対に分化した細胞の初期化を促したり、
また分化した細胞を直接、他の細胞へと
変化させることもできます。
 
 しかし、各細胞内では様々な転写因子が
働いており、どのようにしてその細胞の
機能が発揮されているのか、分化した状態
が維持されているのか、解明することは
非常に困難でした。
 
 升井講師は、「細胞を特徴付ける決定的
な因子(コア因子)が存在し、分化の種類
を決めるとともに細胞の初期化を阻害する」
という仮説を立て、分化した細胞をiPS細胞
へと初期化する効率を指標にコア因子を
同定するiPS干渉法を開発しました。
 
 本研究では、神経細胞に特徴的な転写因子
をリストアップし、それらを過剰発現
させました。
 
 その中から特にiPS細胞へと初期化する
効率が悪くなる(iPS細胞化を干渉する)
因子をコア因子と同定しました。
 
 これらの因子を肝臓の細胞に導入した
ところ、神経細胞へと誘導することが
できました。
 
 また、同様に肝臓の細胞で初期化を阻害
するコア因子を同定したところ、それらは
既に肝臓細胞へと誘導することが知られて
いる転写因子でした。
 
 これらの結果から、升井講師らの立てた
仮説が正しいことが示され、iPS干渉法
によって同定されたコア因子によって
細胞種を直接変換しうることが明らかに
なりました。
 
 今回確立したiPS干渉法を用いることで、
様々な分化細胞を特徴付ける因子を
明らかにすることができ、それぞれの細胞
についての理解が深まるとともに、
分化誘導方法の開発が進むことが期待
されます。
--------------------------------------
 
 素晴らしい成果だと思います。
 
>これらの結果から、升井講師らの
>立てた仮説が正しいことが示され、
>iPS干渉法によって同定された
>コア因子によって細胞種を直接変換
>しうることが明らかになりました。
 
>iPS細胞への初期化を阻害する
>(干渉する)因子が分化誘導を
>促進する
 
 素晴らしい発想ですね。
 相反する機能のような気がするのが
普通の考えだと思う。
 
 これで分化誘導方法の開発が進むと
思われます。
 期待したい。

|

« 哺乳類受精卵のリプログラミングに重要な遺伝子を世界で初めて発見 | トップページ | 活性酸素などから遺伝物質を守る仕組みを解明 »

遺伝子治療関連ニュース」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 初期化を阻害する転写因子が分化を促進する:

« 哺乳類受精卵のリプログラミングに重要な遺伝子を世界で初めて発見 | トップページ | 活性酸素などから遺伝物質を守る仕組みを解明 »