「アレルギーを抑える新たな仕組みを発見」
2013年02月22日
東京医科歯科大学プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
●アレルギー性の炎症を誘導する仕組み
に比べ、抑える仕組みは十分な解析が
進んでいない。
●「アレルギーを悪化させる細胞
(火付け役)」を「アレルギーを抑える
細胞(火消し役)」に変身させる
ユニークな仕組みがあることを発見。
●アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患
に対する新たな治療法の開発に期待。
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研究成果の概要
本研究グループは、慢性皮膚アレルギー
炎症のモデルマウスで炎症部位に集まって
いる白血球を調べたところ、そのうち半数
近くがマクロファージであることを
見いだしました。
これらは血中を循環している炎症性単球
に由来し、血中から皮膚に浸み出した
単球が、マクロファージへと分化すること
が分かりました(図1)。
このマクロファージの特徴を詳しく調べた
ところ、マクロファージの中でも
2型マクロファージと呼ばれるものである
ことが明らかとなりました。
炎症性単球は、その名が示す通り炎症を
引き起こす細胞とされ、これまで炎症の
誘導・悪化に関与すると考えられて
きました。
2型マクロファージもアレルギー炎症の
誘導・悪化に寄与すると報告されて
いましたので、当初はこれらの細胞が
アレルギー炎症の誘導に深く関わっている
と予想しました。
ところが、この炎症性単球が皮膚内に
浸み出せないように遺伝子を操作した
CCR2欠損マウスでは、予想に反して、
炎症が軽快するのではなく、かえって
悪化・長期化してしまいました。
そこで、正常マウス由来の炎症性単球
をこのCCR2欠損マウスに注射すると、
炎症性単球が皮膚アレルギー炎症部位に
浸み出して2型マクロファージへと
成熟する結果、ひどかった炎症を抑える
ことを発見しました(図2)。
さらなる解析から、好塩基球が産生する
サイトカインの1つである
インターロイキン4(IL-4)が、
皮膚に浸み出してきた炎症性単球に作用
して、2型マクロファージへと変化させる
ことも明らかとなりました(図1)。
以上のように、本研究では、炎症性単球
が血中から皮膚に浸み出した後に、
好塩基球の産生するIL-4の影響を受けて
2型マクロファージへと変化することで
炎症を抑制させる能力を獲得して、
アレルギー性炎症を抑え、アレルギーを
終焉に向かわせるという新事実を世界に
先駆けて発見しました。
これまで、2型マクロファージの
生い立ちに関しては、常在性単球からの
生成経路と組織常在マクロファージからの
生成経路の2つが知られていましたが、
本研究で炎症性単球からの生成経路が存在
することが判明するとともに、炎症性単球
由来の2型マクロファージがアレルギーを
抑制することが明らかとなりました(図3)
研究成果の意義
本研究で、「アレルギー性炎症を悪化
させる細胞(炎症性単球)」を
「アレルギー性炎症を抑える細胞
(2型マクロファージ)」に変換できる
ことが明らかとなりました。
この変換のメカニズムと
2型マクロファージによる炎症抑制に
関わる分子群を探索することで、
アレルギーに対する新たな治療標的が
見つかり、新しいタイプの治療法の開発が
進むものと期待されます。
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>好塩基球の産生するIL-4の影響を
>受けて2型マクロファージへと変化する
>ことで炎症を抑制させる能力を獲得して、
>アレルギー性炎症を抑え、アレルギーを
>終焉に向かわせるという新事実を
>世界に先駆けて発見しました。
なかなか興味深い発見ですね。
予想外のことがいろいろある。
>この変換のメカニズムと
>2型マクロファージによる炎症抑制に
>関わる分子群を探索することで、
>アレルギーに対する新たな治療標的が
>見つかり、新しいタイプの治療法の
>開発が進むものと期待されます。
期待したい。
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