脳内で不安を抑える分子モーターKIF13A
2013/02/12掲載
東京大学プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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発表のポイント:
◆成果
分子モーターKIF13A が、脳内で
セロトニン受容体を運んで不安を抑制
する作用を持つことを明らかに
しました。
◆新規性(何が新しいのか)
「安心」や「不安」といった我々の感情
に結びつく高次の脳機能に分子モーター
タンパク質が関わっていることを発見
しました。
◆社会的意義/将来の展望
全く新しい作用の精神安定剤や抗うつ剤
などの開発に結びつく可能性があります。
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レントゲンや内視鏡などによって診断を
下せるガンなどの身体的疾患に比べて、
不安障害やうつなどといった精神的疾患の
原因はまだ十分にわかっていません。
精神疾患の原因解明のためには
「安心」「不安」などといった我々の感情
に結びつく高次の脳機能がどのような分子
の働きでコントロールされているかを知る
必要があります。
今回、東京大学大学院医学系研究科
細胞生物学・解剖学講座/分子構造
・動態学講座の廣川信隆特任教授らの
研究グループは、分子モータータンパク質
KIF13A が脳内でセロトニン受容体を輸送
することで不安を抑制することを明らかに
しました。
KIF13A が働かないマウスの脳内では
セロトニン受容体が神経細胞表面まで
輸送されません。
このマウスでは不安が高まり、エサを
探さずに暗いところに隠れようとする
「心配性」の異常行動が観察されました。
不安の感じ方には個体差がありますが、
KIF13A の働きが弱いと不安を感じやすい
性格になるのかもしれません。
また、セロトニン受容体は精神安定剤や
抗うつ剤の重要な標的として知られて
いますが、KIF13A もまた創薬標的分子と
なるかもしれません。
この研究成果は「Cell Reports」
2013 年2月7日オンライン版に掲載
されました。
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分子モーターね~
いろいろあるようです。
細胞内で蛋白を運搬するというのが
一般的な役目のようですが、
今回の分子モーターKIF13Aは、脳内で
セロトニン受容体をはこんでいるようです。
>分子モータータンパク質 KIF13A が
>脳内でセロトニン受容体を輸送すること
>で不安を抑制することを明らかに
>しました。
とのことです。
いままではセロトニンそのものの
コントロールを目指していましたから、
その意味では別の方法でセロトニンを
コントロールする全く新しい作用の
精神安定剤や抗うつ剤などの開発に
結びつく可能性もありますね。
期待したい。
参考までにセロトニンへのリンクは
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