様々な色を持つ有機蛍光色素「ABPX」の発光メカニズムが明らかに -光エレクトロニクス分野に新たなスマートマテリアルを提供-
詳細は、リンクを参照して下さい。
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◇ポイント◇
・溶液と固体の両方の状態で蛍光を発する
分子メカニズムを解明
・様々な条件下で複数の分子構造へ変化し、
カラフルな蛍光色や発色を示す
・次世代技術として期待される
有機太陽電池や光センサーなどへの
応用が可能
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理化学研究所と岡山大学は、溶液と固体
の両方の状態で蛍光を発する有機蛍光色素
「アミノベンゾピラノキサンテン系
(ABPX)色素※1」の発光メカニズムの
解明に取り組み、ABPXが複数の分子構造へ
瞬時に変化することで、カラフルな蛍光や
発色を示すことを明らかにしました。
これは、理研分子イメージング科学研究
センター(渡辺恭良センター長)
複数分子イメージング研究チームの
榎本秀一チームリーダー
(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授
兼任)、神野伸一郎研究員と、
理研基幹研究所先進機能元素化学研究
チームの内山真伸チームリーダーらとの
共同研究の成果です。
有機蛍光色素は、半導体などを用いる
発光性材料と比べ、レアメタルなどの
資源的な制約も少なく、かつ低価格なこと
から、工業から医療まで幅広い分野で利用
されています。
しかし、従来の有機蛍光色素は、溶媒
への溶解性が低いため取り扱いが難しい
という問題がありました。
また、低濃度の溶液中では良好な蛍光を
発しますが、濃度が高くなるにつれ
蛍光強度が弱まり、凝集した固体状態では
消えてしまいます。
この課題に対応するため、研究グループ
は2010年に、色素分子の凝集によって蛍光
が増大する新しいタイプの
有機系蛍光性色素としてABPXを開発して
います。
今回研究グループは、ABPXの詳細な
発光メカニズムを解明するため、分子構造
と光物性の関連性を実験・理論の両面から
詳細に解析しました。
その結果、固体状態のABPXは
塩化物イオンなどの陰イオンと
イオンペア※2を形成することで、紫外線を
照射すると赤色から近赤外域に蛍光を
発する一方、溶液中では水素イオンの影響
により複数の分子構造へ瞬時に変化し、
カラフルな蛍光と発色を示すことが
分かりました。
ABPXは、従来の有機蛍光色素と比べ、
アルコールなどの扱いやすい溶媒にも
溶けやすく、また凝集した固体状態でも
蛍光・発色します。
液体と固体の両状態で利用できるため、
加工性に優れ、大面積化も容易です。
次世代技術として期待される
有機太陽電池や有機発光デバイス、
光センサーなどへの応用も考えられ、
多彩な光と色が利用可能な有力な
機能性色素となることが期待できます。
本研究成果は、英国王立化学会誌
『Physical Chemistry Chemical Physics』
(2月14日号)に掲載され、同誌の
Hot Articleに選出されました。
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>同誌のHot Articleに選出されました。
とのこと。
>ABPXは、凝集という物理現象と、イオン
>の存在という化学的操作で、発光や蛍光
>の色や強度を制御できるユニークな
>色素化合物です。
>このような特性を有する平面性の高い
>パイ電子共役型色素の報告はほとんど
>なく、新しい発光性材料を提供できる
>上で意義深い研究成果です。
>ABPXは、欲しい機能に多彩な光と色で
>応答する、光エレクトロニクス分野の
>新しいスマートマテリアルとなること
>が期待されます。
良さそうですね。期待しましょう。
有機太陽電池や光センサーなどへの
応用が可能と言うのは、
発光だけでなく光エネルギーの吸収
にも優れたもの、ということから応用が
可能ということになる?
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