免疫反応を抑える細胞が作られる新たな仕組みを発見
平成25年1月21日
科学技術振興機構(JST)
慶應義塾大学 医学部
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
○過剰な免疫反応を抑制する制御性T細胞
(Treg)が作られる仕組みは謎だった。
○Nr4aたんぱく質を適度に活性化する
と、Tregが作られることを発見。
○関節リウマチなどの自己免疫疾患や
花粉症、ぜんそくなどのアレルギー性疾患
の新しい治療法に期待。
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JST課題達成型基礎研究の一環として、
慶應義塾大学 医学部の関谷 高史 助教、
吉村 昭彦 教授らは、マウスの実験で
自己免疫疾患の発症と抑制に関係する
基本的で重要な免疫調節メカニズムを発見
しました。
関節リウマチや炎症性腸疾患などの
自己免疫疾患注1)や、花粉症、ぜんそく
などのアレルギー性疾患は、過剰な
免疫反応が原因となって発症すると
考えられています。
炎症性腸疾患は近年患者数が毎年1万人
近く増加しており、花粉症は今や
5人に1人が罹患する国民病です。
このような免疫反応を推進する細胞が
いる一方、免疫反応を抑制する細胞の
制御性T細胞(Treg)注2)が存在
します。
通常はTregが過剰な免疫反応を抑制
することで免疫疾患が起こらないように
していると考えられています。
そのため、Tregを増やすことで
免疫疾患を治療できると考えられて
きましたが、これまでTregが
どのようなメカニズムで生み出されるのか
は全く不明でした。
今回、本研究グループは核内受容体注3)
の一種、Nr4aというたんぱく質が
Tregの生産に必須であることを発見し、
さらにNr4aを適度
(強すぎず、弱すぎず)に活性化すること
で通常はTregにならない細胞も
Tregにすることができることをマウス
の実験で示しました。
今後、Nr4aを人為的に活性化させる
仕組みをさらに明らかにすることで、
Tregの量が調整可能になると考えられ
ます。
本研究成果は将来的に、関節リウマチや
炎症性腸疾患などの自己免疫疾患や
花粉症、ぜんそくなどのアレルギー性疾患
に対する新しい治療方法の開発、あるいは
臓器移植時の拒絶反応の制御につながる
ものと期待されます。
本研究成果は、2013年1月20日
(英国時間)に英国科学雑誌
「Nature Immunology」
のオンライン速報版で公開されます。
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>Tregそのものがどのように発生する
>のかは長らく不明で、Treg発生の
>メカニズムの解明は現代免疫学における
>大きな課題の1つでした。
ちょっと進歩しましたね。
>今後、Nr4aを人為的に活性化させる
>仕組みをさらに明らかにすることで、
>Tregの量が調整可能になると考え
>られます。
今後に期待しましょう。
<研究の背景>、<さらに詳細な背景>
は免疫システムの勉強になります。
図1~4も、
ご参考までに、
残念ながらT細胞の教育機関である胸腺は
80歳くらいで消滅してしまうのです。
よって理論的には、その後免疫システムは
脆弱となり、感染に弱くなるのです。
感染症にかかりやすくなる。
だから平均寿命が80歳位になるらしい。
もうひとつの免疫系のB細胞は残って
いますが、新しい敵に対処できなくなる?
もっとも免疫システムの解明はまだまだ
不明点が多いので、この話もマクロな
話でしかないのですが、
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