自然免疫と獲得免疫の両方を活性化させるがん免疫療法を開発
平成24年12月26日
理化学研究所プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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生体を病原体から守る免疫系は
自然免疫と獲得免疫とに
大きく分けられます。
自然免疫はいわば最前線の防衛隊と
言えるもので、さまざまな病原体などの
異物に反応します。
これに対し、獲得免疫は血液中の
毒素分子や小さな病原体、細胞内に
入った病原体など特定の抗原を強力に
排除します。
自然免疫で司令塔の役割を担う
樹状細胞は、体内に侵入した抗原を
取り込んでその情報をT細胞に提示し、
T細胞はその抗原を認識し、攻撃開始
するのです。
がんの治療では、これまで、がん抗原
だけがもつ小さなタンパク質の破片
(ペプチド)を標的にするペプチド療法
や、樹状細胞を体外で増やしてがん抗原を
添加し、再び体内に入れるという免疫療法
が行われてきました。
しかし、いずれも十分な成果を得ること
ができませんでした。
理研の研究者を中心とした共同研究
グループは、NKT細胞と樹状細胞を用いて
自然免疫と獲得免疫の両方を活性化して、
特定のがんを抑制する「ヒト型人工
アジュバントベクター細胞(aAVC)」
によるがん細胞療法の開発に挑みました。
ヒトのがん抗原のタンパク質をコード
するメッセンジャーRNA(mRNA)を導入
したヒト由来の細胞に、NKT細胞を活性化
する「アルファガラクトシルセラミド」
という糖脂質を加えてaAVCを作製
しました。
これをヒト免疫細胞を移植したマウスに
投与したところ、自然・獲得免疫の両方が
活性化し、T細胞の活発な分裂や増殖を確認
しました。
これは、投与したaAVCも自然免疫に殺傷
されて生体内の樹状細胞に取り込まれ、
がん抗原がT細胞に提示されたためです。
aAVCは抗原の取り換えが可能です。
多様ながんに対応した細胞療法を実現
するための新しい細胞製剤として
医薬製剤化が期待できます。
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良さそうです。
免疫が持っている本来の役目。
がんはうまくこの仕組みから逃げている。
この前紹介した
も含めて期待がふくらみますね。
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