世界に先駆けて、エイズウイルスの増殖を制御するタンパク質の分子構造を決定。治療の標的となりうるポケット構造を発見。
2012年9月23日
名古屋大学プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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この度、(独)国立病院機構名古屋
医療センター臨床研究センター
(室長・岩谷靖雅)、
名古屋大学シンクロトロン光研究センター
(教授・渡邉信久)と名古屋大学大学院
工学研究科(大学院生・北村紳悟)らとの
共同研究チームは、エイズウイルス(HIV)
の増殖を制御する細胞内タンパク質
APOBEC3C の分子構造を決定し、
エイズ治療の新しい標的となりうる
分子上のポケット構造を発見しました。
HIV 感染症の治療薬は劇的に進展
しましたが、未だ根治には至っておらず、
不断な新規薬剤開発が求められています。
そもそも、リンパ球内にはウイルスに
対する防御タンパク質
(APOBEC3 ファミリー)がありますが、
HIV は自身が作り出す Vif という
タンパク質によって APOBEC3 を分解して
しまいます。
そのため、HIV はその防御システムから
逃れ、我々の体内で増殖してしまいます。
世界的に Vif とAPOBEC3 の相互作用を
標的とした次世代型のエイズ治療薬の開発
が進められていますが、両者の分子構造
(タンパク質の形)が解明されておらず
薬剤開発の行く手を阻んでいました。
しかし、研究チームは APOBEC3
ファミリーのひとつ APOBEC3C
タンパク質の分子構造の決定に世界で
初めて成功しました。
さらに、遺伝子工学的技術を用いて、
Vif が相互作用するAPOBEC3C 上の
ポケット構造を見出しました。
今回の研究成果は、Vif が相互作用する
ポケットをふさぐことによって
エイズウイルスによるAPOBEC3 の分解を
防ぐ薬の探索に道筋をつけ、新しい
エイズ治療薬の開発に向けた動きをさらに
加速するものと思われます。
本研究成果は、科学雑誌
『Nature Structural & Molecular Biology』
(9 月 23 日付けの電子版)に掲載されます。
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素晴らしい成果ですね。
期待したいと思います。
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