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2012年10月16日 (火)

高度な長期戦略で結実 オランダの「持続可能な社会」

012/10/15 日本経済新聞
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 高度な機械化・情報化により、オランダ
を金額ベースで世界第2位の農産物・
食品輸出国に押し上げた要因の一つと
される「施設園芸(温室栽培)」を
はじめ、EU圏随一の規模を誇る
“カーボン・フリー・タウン”である
「太陽の町」を視察する機会を得た
ので、紹介したい。
 
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 オランダは天然ガス資源に恵まれて
いることから、これを国内消費だけ
でなくEU諸国にも輸出している。
 天然ガス自給率(2009年)は161%にも
及ぶ。
 そのため、一次エネルギー全体の自給率
は高い水準を保っており、2009年では
81%に上る。
 
 年間総発電量は日本の約9分の1である。
 その内訳は、天然ガスによる火力発電
が最も多く60.4%で、石炭火力を含む
火力発電全体では約85%を占める。
 
 再生可能エネルギーは、国の積極的な
支援の結果、1995年ごろから継続的に
増加し、現在は約10%を担うまでに成長
している。
 中でも、風力発電は良好な風環境を
持つ土地が多く、広く普及している。
 
 オランダは2007年に電力の完全自由化を
達成しており、一般家庭でも自由に
電力会社を選択することができる。
 ただし、電力だけでなく、ガスや水道
などのサービスを一体で扱う企業が多い
ことから、企業の乗り換え自由度は
それほど高くない。
 それでも、様々なメニューの中から
自然エネルギーを用いた「グリーン電力」
のみを選択することができる。
 
 グリーン電力の単価は、政府が補助金や
税金免除の政策を実施しているため、
火力発電や原子力発電を用いた
「グレー電力」と同料金としている
電力会社が多いようである。
 
■九州並みの国土なのに世界有数の
農産物輸出国
 
 オランダの農業は高度な機械化により
高い生産性を誇っている。
 日本の九州ほどの国土面積しかない
のにもかかわらず、世界第2位の農産物・
食品輸出国である。
 そのイメージからオランダが肥沃な国土
で大々的に農業を営んでいるように思い
がちだが、そうではない。
 オランダは平地に恵まれているものの、
農地面積は110万ha(ヘクタール)と、
日本の約4分の1しかない。
 それにもかかわらず、世界上位の
農産物輸出国である理由は、したたかで
戦略的な“選択と集中”による、
高付加価値の野菜と食品加工に特化した
ところにある。
 
 オランダは広い土地を必要とする穀物
を輸入し、付加価値の高い野菜や、
チーズなどの加工乳製品を輸出する戦略を
採っている。
 オランダで栽培されている高付加価値
の野菜の代表であるトマトは、小麦と
比べて面積当たりの重量収穫量が数百倍、
さらに重量当たりの生産者価格で数倍に
上る。
 
 オランダの農業は、生産性向上を
目指し、現在もまだ集約化が進んでいる。
 農地規模は大きく、多数の労働者を雇用
する形で運営し、その形態は農家と言う
よりは、むしろ「農業事業者」と呼ぶ方が
近い。
 農業事業者の多くは農業組合形式を
取り、複数の農家が共同で施設や研究開発
への投資を行い、投資効率の向上と
リスク回避を図っている。
 
■トリジェネレーションを活用
 創エネ分野では、発電と発熱、CO2の
三つを利用する「トリジェネレーション」
と呼ぶ手法が活用されている。
 
 コジェネレーションは、発電とともに
熱を得る高効率なシステムとして日本でも
知られているが、オランダでは電力と熱に
加えて、天然ガスの燃焼時に発生するCO2
を温室へ供給し、野菜の促進栽培に利用
している。
 オランダではこの手法が広く普及して
おり、国内全体の設備容量は合計3000MW
に及ぶ。
 これは一般的な原子力発電所3基分に
相当し、地産地消型の分散電源として
電力供給の一翼を担っている。
 しかも、天然ガスで発電した電力は
自家消費するだけでなく、余剰分を
電力会社へ売電している。
 売電単価には価格スライド制が適用
され、燃料高騰の際は売電単価も上がる
仕組みにより、安定的な運用を可能
にしている。
 
■構想から20年かけてカーボン・フリー
を達成
 
 一方、“太陽の町”と名付けた、
CO2排出量を実質的にゼロにした
カーボン・フリーで注目を集めている
地域が、Heerhugowaard
(ヘーアヒューホワールト)市にある。
 同市は、首都アムステルダムから北へ
約30km離れた、郊外のベッドタウン。
 数十年前、特徴がない地方都市の在り方
を反省し、市の強力な旗振りの下、
戦略的かつ計画的に都市開発を進めて
きた。
 人口は約5万2000人で、現在も増加傾向
にある。
 
 太陽の町は、単に再生可能エネルギー
を大規模に導入するだけでなく、戦略的な
サステナビリティ思想に基づいて、長期に
わたり包括的な開発努力を継続して
きた。
 
 同市は持続可能性を確保するため、
市民の意見を吸い上げる仕組みを確立
し、町が完成した現在でも、自治組織と
市の間で定期的に協議が行われている。
 
 この他にも、意見箱に寄せられる市民の
要望に対しては、市による3週間以内の
回答がルール付けられている。
 市庁舎には「インタラクティブ・マップ」
と呼ぶ大きな地図を掲げ、
「市の開発状況を市民と共有する」という
意気込みを感じることができる。
 
 太陽の町は計画初期の1995年に
コンセプトを示すデザイン画が制作
された。
 
 当初は太陽電池が高価であり、
カーボン・フリー・タウンの実現は
難しかった。
 しかし、強い想いと戦略的価値から、
計画に10年、施工に10年を費やして
完成にこぎ着けた。
 今後は、太陽光発電の拡充をはじめ、
地熱やバイオマスなどの
再生可能エネルギーを積極的に導入する
他、蓄熱や施設の高断熱化などの
省エネ技術の採用を徹底することで、
2030年には系統電力に一切頼らない
“ゼロ・エネルギー・タウン”の達成を
目指している。
 
 太陽の町は街区ごとに異なる、多様な
住居タイプがある。
 これは、街区ごとに特色を持たせる
ことで、自分が住む街区に愛着を抱いて
もらう狙いがあるとともに、都市の持続
のためには、富める者も貧しき者も、
老いも若きも、健常者も身障者もが
一緒に住まう、画一的でない町作りが
必要であるとの思想に基づいていると
いう。
 
■日本も長期的視野で
 
 このようにオランダの
サステナビリティに対する取り組みは、
日本も学ぶべきところが大いにある
はずである。
 
 視察当初、牧草地を掘り起こして
人工池を造成し、町を浮かべてしまう
手法は、「自然との共生」という
よりも「自然を征服、制御する」
といった西洋思想を感じたものの、
オランダならではの親水空間という
土地柄から来るものだと気付いた。
 
 日本にあっては、もう少し別の自然
との共生へのアプローチがあろう。
 そのためにも、日本の各地域において、
それぞれに適した手法や組み合わせを
粘り強く探していくことが最も重要に
なるはずである。
 
 太陽の町も、構想から完成まで、
20年もの歳月が掛かっているのだから…。
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 素晴らしいと思います。
 
 日本も長期的視野をもって戦略的な
国作り、町作りが出来ないもので
しょうか?
 
 戦略次第でこんなにも違う。
 
 見習うべき国は沢山ある。
 
出来ない、出来ないと言ってないで
是非行動して欲しい。
 
 トリジェネレーションと言う考えは
良いですね。
 この前、芋発電というのを夢の扉+
見ましたが、こういうのも良いですね。
 
 アイデアはあるはず。
 まず出来ないから始まるから良くない。
 こうありたい、その目標に向かって
前進することが必要だと思う。

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