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2012年6月16日 (土)

「欧州より日本の国債が心配だ」  フジマキ・ジャパン社長 藤巻健史氏

「欧州より日本の国債が心配だ」
フジマキ・ジャパン社長 藤巻健史氏

2012/6/14 日本経済新聞

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 「ギリシャより日本の財政破綻の方が
間近?」 財政破綻問題を、
「しょせんは国の問題」として他人事
のように考えていらっしゃる方も多いかと
思うが、実は自分自身に即、降りかかって
くる大問題でもある。

 ほとんどの日本人は現在、間接的に
ではあるが大量に国債を保有している。

 金融機関は預かった預金で大量の国債を
買っている。

 ゆうちょ銀行などは預かった預金の
約8割を国債で運用しているのだ。

 年金も多くが国債で運用されているし、
生命保険会社は集めた保険料を大量に
国債で運用している。

 したがって、もし、財政破綻で国債の
価値がなくなれば預金は戻ってこず、
年金は支払われず、生命保険も払われなく
なる可能性がある。
 その意味で財政破綻問題は直接的に
個人に影響する問題となる。

 個人が直接にダメージをこうむる国の
財政破綻であるが、来る17日のギリシャ
再選挙を控え、世界はユーロ圏の財政破綻
問題で大騒ぎだ。

 ギリシャ国債の6割から7割は独仏の
銀行に保有されているので金融システム
不安が起こりかねない。

 その他もろもろの危機が他国に連鎖して
いく可能性がある。

 要は、ギリシャがこければ他国が大迷惑
する。

 だから、今、世界はユーロ問題を注視し
大騒ぎしているのである。


■はるかに財政事情が悪い日本、世界は
無視
 一方、彼の国々よりも、はるかに
財政事情が悪い日本のことを世界は無視
しているし、騒いでもいない。

 なにせ日本国債の93%は日本人が保有
しているのだから日本がこけても彼らは
直接的な被害を受けない。
 損をするのは日本人だけだ。
 「勝手にこければ~」というところ
だろうか。

 いま世界が注目し騒いでいる南欧諸国
よりも、騒がれていない日本の方が、
実は、よほど危機が身近に迫っていると
私は思っている。

 南欧と日本、どちらもポピュリズム
(衆愚)政治だとしても、南欧の場合は、
世界中が注目し騒いでいる。

 多少なりとも、世界の目という
チェック機能がある。

 それに加えて市場という強力な
チェック機能も働いている。

 長期金利が上昇し警戒警報を鳴らして
いる。
 その結果、政治家もそれなりの危機感
を持ち真剣に財政赤字問題に取り組んで
いる。
 個人も危機に備えている。
 皆、シートベルトを締めて緊張しながら
事態に対処しているのだ。

■日本の政治へのチェック機能、市場も
果たしていない
 一方の日本は、世界の目という
チェック機能がまず働いていない。

 さらにまずいことに市場が政治に対する
チェック機能を果たしていない。
 こんなに財政事情が悪いのに長期金利が
低位安定してしまって警戒警報を発して
いない。

 だからマスコミも政治家も国民も、
まだ大丈夫だと能天気でいる。

 チェック機能が効かないところでは
バブルは想像を絶するほど大きくなり
破裂の衝撃は大きい。

 それも警戒感が薄いところにショックが
来るのだから大混乱が予想される。

 だから私は南欧諸国より日本の方が
よほど憂慮すべき状態だ、と言っている
のだ。

 通常の資本主義国家では、バラマキ政治
がおこなわれると長期債市場が警戒警報を
発する。

 「政治家さんよ、人気取りでそんなに
お金をばらまくと、資金不足で長期金利が
上昇しますよ。
 それは経済にとって悪影響ですが、
それでもいいのですか?
 世間は、バラマキをしたせいで景気が
悪化したとあなたを非難しますよ」
という警戒警報だ。

 しかし日本ではいくら政治家がバラマキ
を行っても長期金利が上昇しなかった。

 警戒警報のスイッチを切ってしまった
ためだ。

 こうなるといくらバラマキをしても痛み
が出ないから、政治家はバラマキ放題だ。
 その結果、とんでもないほどの
累積赤字額が溜まり、財政破綻のリスク
というつけが回ってきたのだ。

 累積赤字は今や959兆円。
 10兆円ずつ返済したとしても96年かかる
額だ。

 10兆円を捻出するためには、
(今年度予算は)46兆円の歳入予定だから
36兆円に支出を抑えなければならない。
 それなのに、今年度は90兆円も使おうと
している。
 さらに社会福祉費は毎年1兆円ずつ
増えるという。
 これでは96年どころか200年たっても
300年たっても959兆円を返せない。

 さらに、より深刻な問題は借金には
利息を払わなくてはいけないという点だ。
 これほどまでの巨額借金を抱えて
しまうと金利が上昇し始めれば支払金利
だけで財政はいちころだ。

 よく、「長期金利が上昇していない。
 日本の財政はまだ大丈夫だ、と
市場自身が言っている」と発言する識者が
いらっしゃる。
 市場原理が働いているのなら、
たしかに、その発言は的を射ているの
だろう。

 市場で取引をした経験のない方なら
「市場原理が働いている」という前提で
話をするのは仕方がないのかもしれない
が、長年、長期国債市場で大きな勝負を
してきた私の目からみると残念ながら
この国では「市場原理」は働いていない。
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恐ろしい話だと思う。

どうしてこうも
政治家も、国民も危機感が無いのだろう?

消費税をあげることに賛成とか反対とか
暢気なことを言っている場合ではないと
思う。

収入も無いのに福祉の充実などあり得ない。
収入がないのだから借金しかない。
それはできない。
これ以上金融機関は国債を買い支えられ
ないはずだから、

無駄を省くと言うがいっこうに進まない。
消費税を上げることに反対な人達は
どうやって実現するつもりなのか?

出来るのなら、既に出来ていて良いはず
ではないか?
その手段、方法を具体的に示して欲しい。

スペインの国債金利は7%を突破したと
言うではありませんか、
単純な話、1000兆円の7%=70兆円
ですよ。

消費税であがなうとすると何%に相当する
のか?

5%で10兆とすると35%となる。
今議論している8%とか10%とか
いう話ではない。

それも福祉の為では無い、単に金利を
支払う為だけに負担しなくてはなら
ない。

現状ではいつ上がっても不思議ではない。

いつだかテレビで日本の国債金利の上昇
は2年以内に始まるだろうと言っていました。

実際に国債を売買する人達は売買される
国の都合など考えもしない。
いとも簡単に売り買いする。
恐ろしい状態です。

なのに日本の財政収支の黒字化の戦略を
明確にしようとする政治家が出てこない
のは何故?

そのことを海外に向けて宣言しない限り
日本の破綻は避けられないと見て、
日本国債はどの国も絶対買ってくれない。
よって金利は高くせざるを得ない。
となって日本国債の金利上昇が始まるの
では? これが2年以内?

こういうことを考えると
お先真っ暗になる。

これくらいの危機感を是非政治家には
持って欲しい。

そして命をかけて貰いたい。

今回の消費税くらいのことで政治生命が
どうのとはなんとも暢気な話としか
思えない。

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コメント

日本国債が大量に売られたとして、その代金として売った人が得る円はどうなるんでしょうか?

投稿: | 2012年6月16日 (土) 12時49分

「国債は発行時に償還期限と利率が定められており、購入者はこれに応じた利息を受け取ることができる。
償還期限を迎えると、元金である国債の発行時の金額(額面額、または額面価格という)が支払われる。」
ということで、この限りでは、安全資産に見えますが、

日本国債売りが生じているような状況は、日本破綻と考えます。
その時は、悲観的な見方をすれば、ハイパーインフレ(事実上のデフオルト)になる可能性が高く、
円は紙切れ同然となるのではないでしょうか?

参考リンク
http://diamond.jp/articles/-/15761
http://happy7878.seesaa.net/article/253410175.html

本当にどうなることやら、

投稿: haredasu | 2012年6月16日 (土) 15時30分

>日本国債売りが生じているような状況は、日本破綻と考えます。
これは、国債の値段が下がる≒長期国債の金利の上昇が生じる状態だと思います。今0.9パーセント程度だと思います。これが9パーセント近いときがバブル期にありましたが、このときの金利上昇はどう考えたらいいんでしょうか?

投稿: | 2012年6月16日 (土) 15時57分

当時はそれくらいの利率がなければ売れなかったということです。

しかし今は1%でも売れる。それだけ国債の価値が高くなっていると解釈できます。

ではなぜ日本国債がそれほど欲しがられているのか?

今の日本はデフレで物価が下がり日本円の価値が上がっている状態。
だから1%を切る低金利でもデフレ率を加味すれば十分に魅力的 → もう少し円高になると思っている。
のではないでしょうか?

とは言いながら、国債に絶対は付けられない。
現在は国債バブル状態、いつはじけてもおかしくない状態なのです。

投稿: haredasu | 2012年6月17日 (日) 12時20分

>当時はそれくらいの利率がなければ売れなかったということです。
>しかし今は1%でも売れる。それだけ国債の価値が高くなっていると解釈できます。
>ではなぜ日本国債がそれほど欲しがられているのか?
>今の日本はデフレで物価が下がり日本円の価値が上がっている状態。
>だから1%を切る低金利でもデフレ率を加味すれば十分に魅力的 → もう少し円高になると思っている。
>のではないでしょうか?

この知見は正しいんじゃないかと思います。流石です。
つまり今は、、工場などの直接投資、不動産投資等の需要がなく、銀行は借り手がいず、しょうがなく、国債をかっている状態と思われます。
なぜこうなっているか、デフレだから消費が伸びないと皆が予想しているのでこうなっているのだと思います。
 例えるなら、セールや大売出しで物が売れるのは、「物の値段が下がる。」ということと「その状態がつづかない、もしくは後に値段が上がる。」とみなが思っているから売れるんだと思います。
ですので、デフレ状態であれば、必要最低限の物以外、消費を見送っている状態で、家計も、企業も、民間はみな消費、投資をひかえてしまっているというデフレが問題であって、
それを止めることが最優先事項だと思います。

話がそれましたが、日本国債は100%円建てで、95%程度が国内で消化されていますので、もし国債が売られたらその分の円(タンス預金などしなければ)が消費、投資等に回っている状態だと思います。
いずれにせよ、GDPをふくらませる因子ですので、景気がよくなっていると考えられますが、この知見はおかしいでしょうか?

投稿: | 2012年6月17日 (日) 18時02分

>国債が売られたらその分の円(タンス預金などしなければ)が消費、投資等に回っている
>状態だと思います。
そうですね。うまく回ればGDPをふくらませる因子ではあります。

しかしながらこれだけでは景気は良くなりません。
良くなる為には、今の円高もそうですが、既存企業の業績の向上と新規企業を生み出さなければ
いけません。政府もその後押しをしなければいけないのに何もしていないに等しい → これでは
景気は良くならないと思われます → 電力改革を含めた構造改革です。

景気が良くならない限り、借金の償還は出来ません。
せめて出来るのは税収を増やすことくらい? 
もっと大胆に無駄の削減は出来ないものでしょうか?

今の日本の借金状態では、日本国債の海外保有比率をあげることはきわめて危険だと思われます。
海外の都合で左右されてしまう状態=今のEUの状態。になります。
日本はEU各国の状態など比較にならないほど悪い。

解決策は日本のGDPを上げるしかないのですが、その施策、戦略がないに等しいのが残念です。
ギリシャと同じですね。GDPを上げたいのだけれど企業がない。かといって緊縮財政もいやだと、

なんとかひどいことにならないように祈るのみです。

投稿: haredasu | 2012年6月18日 (月) 10時08分

>解決策は日本のGDPを上げるしかない

これについては、100%同意です。

GDPとは、おおまかに次のようになると思います。
GDP=①企業支出+②家計支出+③政府支出

 デフレ状態であれば、①、②は防衛的な行動(消費、投資ではなく、貯蓄や借金返済)をとるのは自然な状態で、
どっかの一党独裁国家とはちがうので、銀行に対し、無理やり「融資を増やせ。」
などと命令できません。
 ということで、③を行うことがデフレ脱出には必要です。
しかし、これに対してのアレルギー反応がでているのが今の日本の状態です。

 国の借金≠政府の借金であること

 またバランスシートで考えると

 政府の借金≒国民の資産(日本国債は100%円建て、95%程度国内で消化)を理解し
(この辺の話は三橋貴明氏、高橋洋一氏の著作、ブログ等で詳しくのっています。)

 特に、震災対策(耐震化、津波対策)として公共事業が必要だと思います。
そうでなくても公共事業が80年代後半の半分にまで減ってしまい、(GDPの③の要素でもある。)
実は公共インフラのメンテが疎かになっており、大型車が通れない橋が大量にあるそうです。(三橋貴明氏のブログより)
 
もちろん、際限なく国債を発行しろとか、際限なく日銀に引受されろとか言うつもりはありません。
 ①GDPデフレーター(名目)②消費者物価指数特にコアコアCPIの2つの数値に注意し、
マイルドなインフレを超えそうならば今度は金融引き締めなり、増税なりをして景気の加熱を抑えればいいんだと思います。
要は、環境、状況によって適切な手を打つべきたと思います。
 デフレ期にはデフレ対策を、インフレ期にはインフレ対策ということです。


また、日銀が金融緩和をすることにより円高も解消できると思います。

円高とは、円の量<(ドル、ユーロの量)という貨幣現象です。

具体的にリーマン・ショック後にFRBはQE1,QE2と大規模な金融緩和策により貨幣量を3倍位に増やしています。
ユーロも確か、かなり増やしているはずです。
 日銀はというと貨幣の信認が落ちるとか何とかいう理由でほとんど行なっていません。
今年2月に10兆円の金融緩和を行ったところ81~83円位の円安になりましたが、
その後、円の量を減らしたらしく、ほぼ元に戻ってしまっています。
このことからも分かるように、日銀がその気になれば円高も解消できる可能性は極めて高いです。
 日銀の不作為は、ひどいものがあります。

 まとめとしては、金融緩和と財政出動の両方(片方だけでは効果が薄いと思われる。)を今の日本は
必要としているんだと思います。

投稿: | 2012年6月18日 (月) 13時59分

ちょうどアメーバ・ニュースに三橋貴明氏の投稿があがっておりました。
この話に関連していますので、ぜひご一読いただければと思います。

http://news.ameba.jp/20120618-284/

投稿: | 2012年6月18日 (月) 18時57分

>金融緩和と財政出動の両方(片方だけでは効果が薄いと思われる。)を
>今の日本は必要としているんだと思います。
同感です。

ただ、何にどの程度投資するのかということには注視したい。
震災対策は必要とは思いますが単なる復旧では駄目なので工夫がいると思うし、
インフラもそろそろ寿命がきているのでその面への投資は無条件で必要と思う。

投資の優先順位がどうなっているのか? きわめて疑問。

新規投資については、これから成長するであろう分野に優先投資して欲しい。
どうもそう思われる分野への投資が足りないように思う。

高速増殖炉「もんじゅ」などへの投資は税金をどぶに捨てているようなもの。即止めて貰いたい。
「いままで投資してきたものが無駄になる」などという言い訳はいらない。
十分無駄にしてきた、これ以上の無駄は出来ない。

経済は不可解な部分が沢山あるので、いろいろな人のいろいろな意見を参考にしながら
これからの行方を見て行きたいと思っています。(自分の頭で考え判断して行くつもりです)

ご意見ありがとうございました。

投稿: haredasu | 2012年6月19日 (火) 10時54分

>(自分の頭で考え判断して行くつもりです)

この態度は非常に重要だと思います。
私も自分が100%正しいと言うつもりは毛頭ありません。

ネットで得られる情報は玉石混交とはいえ、マスコミとは量、質ともに比較になりませんので
そこで、情報をとり、自分で考えることが重要だと思います。

何度も返信有難うございました。
ブログの記事、楽しみにしております。

投稿: | 2012年6月19日 (火) 11時13分

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