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2012年6月15日 (金)

トランジスターの理論限界を突破 次世代省エネデバイス実現へ

トランジスターの理論限界を突破
次世代省エネデバイス実現へ

平成24年6月13日
科学技術振興機構(JST)
北海道大学

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 JST 課題達成型基礎研究の一環
として、JST さきがけ専任研究者の
冨岡 克広、北海道大学 大学院情報科学
研究科の福井 孝志 教授らは、半導体中の
トンネル効果注1)を用いることで、従来
のトランジスター(電子の流れを電圧で
制御してオンオフするスイッチ素子)の
理論限界を大きく下回る
低消費電力トランジスターの開発に成功
しました。

 この素子はあらゆる電子機器の
省エネルギー技術へ応用できます。

 パソコンのLSIやマイクロプロセッサ
などで使われている半導体集積回路は、
基礎となるトランジスタ-を小さくし、
集積度を高めることで、高性能化、
低消費電力化、低コスト化を実現して
きました。

 しかし、近年、低消費電力化が頭打ち
になり、半導体回路内の消費電力が大幅に
増えています。

 低消費電力化の妨げになっているのは
スイッチに利用しない電流が漏れ出す
リーク電流と、トランジスターの
サブスレッショルド係数注2)に理論的な
限界(60mV/桁)があるためです。

 これまでのトランジスターの
サブスレッショルド係数は
60~100mV/桁でした。

 本研究グループは、トランジスター構造
を縦型にし、ラップ状にゲート電極を作る
ことで、電流のリークを抑えました。

 さらに、ナノメートルスケールの
結晶成長技術によってシリコンと
インジウムヒ素(InAs)ナノワイヤ
界面を形成し、その界面で生じる電子の
トンネル効果による電流をスイッチ素子に
使うことで、サブスレッショルド係数の
理論限界60mV/桁を大幅に超える
21mV/桁を初めて達成しました。

 この結晶成長技術を用いた界面構造は、
従来の不純物ドーピングや化合物半導体
などの手法における技術的なボトルネック
を回避できるため、
本来トンネルトランジスターが示せる
小さなサブスレッショルド係数を実現
しました。

 この要素技術を応用すると、現在の
半導体集積回路に比べ、回路全体の消費電力
を10分の1以下に低減できます。

 また、あらゆるデジタル家電の待機電力や
モバイル機器の電池の消費を大幅にカット
することができます。

 今回、世界中の企業がしのぎを削る中、
少人数の研究グループで、世界に
さきがけて開発に成功しました。

 本研究は、北海道大学
量子集積エレクトロニクス研究センターで
行われ、その要素技術は、すでに日本を
含む世界5ヵ国・地域に特許出願されて
います。

 本研究成果は、2012年6月12日から
15日(米国・ハワイ時間)に開催される
半導体国際会議では最高峰の1つである
「VLSIシンポジウム2012」での
招待講演として12日に発表されます。
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素晴らしい。

>この要素技術を応用すると、現在の
>半導体集積回路に比べ、回路全体の
>消費電力を10分の1以下に低減
>できます。

>また、あらゆるデジタル家電の待機電力
>やモバイル機器の電池の消費を大幅に
>カットすることができます。

良さそうですね。
10分の1というのはすごいことです。

スピンエレクトロニクスの実用化には
まだ時間がかかりそうですので、
この技術に期待したい。

関連リンクです。
理論的限界を超えた!
次世代トランジスタが実現
(2012年8月17日配信)

サイエンスニュース2012(新着情報)

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