体を傷つけず、PETで難治性乳がんを診断
体を傷つけず、PETで難治性乳がんを診断
-診断と治療を同一薬剤で行う
セラノスティックスの実現へ-
平成24年6月6日
理化学研究所プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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乳がんは、日本の女性の部位別
がん罹患率第1位です。
その中でも転移・再発率が高く、
治りにくいのが「HER2陽性乳がん」で、
全体の20~30%を占めます。
HER2陽性乳がんは、がん細胞の表面に
HER2タンパク質をもっているのですが、
近年、これを狙い撃ちする抗体医薬
「トラスツズマブ」が開発され、乳がんの
治療を大きく変えました。
トラスツズマブはHER2タンパク質に結合
して乳がん細胞の増殖を抑え、
高い治療効果があるとされています。
現在、がんの早期発見に用いられている
PET検査は、がん細胞が糖を大量に消費する
性質を利用しています。
まず、糖に似た化合物を放射性同位体で
標識(PETプローブ化)し、患者さんに
投与します。
このPETプローブが体をめぐり糖代謝の
盛んな細胞に取り込まれるので、悪性度の
高い腫瘍を可視化、診断できます。
ただ、がん細胞がHER2陽性か陰性かなど
の詳細な情報はこのPET検査では分からない
ため、患部を針で刺して細胞を採取する
針生検が必要でした。
分子イメージング科学研究センターの
研究者は、トラスツズマブをPETプローブ
に用いて、HER2陽性がん細胞を画像診断
する手法を開発しました。
被ばく量が小さい銅の放射性同位体
(64Cu)で標識したため、従来のPET検査と
ほぼ同等の被ばく量でトラスツズマブの
体内での動きを追跡できます。
実際に、トラスツズマブで治療中の
患者さん14症例で臨床試験を行った結果、
HER2陽性乳がんの原発巣、骨・脳などへの
転移、治療に伴うがん組織の縮小を確認
しました。
治療薬そのものをイメージ診断薬として
用いることで、診断、治療、予後観察の
一連の医療を統合する
「セラノスティックス」の実現の可能性を
示したことになります。
今後は、画像診断の確実性の向上、
他のがん種への応用を進め、早期の実用化
を目指します。
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良いですね。
分子標的薬はこれからも出てくる
でしょうし、応用は広がると
考えられます。
期待したい。
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